姫様は最強勇者の生まれ変わり……だけど女に転生するのを拒否したため記憶と知識はあるけどチートも無双もできません。

しいず

伝説の勇者は姫様になるのを拒否する

第1話 姫様は伝説の勇者の生まれ変わり?

俺はかつて魔王を討伐した勇者ファーガスである共に、魔王討伐後は

大陸で起った大戦を王国を勝利に導いた英雄であり、まさに最強の男であった。

しかし、いくら最強でチート能力があっても、人は必ず死ななければならいが

俺もその死を迎える時が来た。


 幸いな事に、殺される事なく、美しい妻と大勢の子供達、そして孫たちに看取れて死を迎えた。

ただ、死を迎える前に来世では、最強は飽きたので、次は護られる側になりたいが

護られると言えば、やっぱり姫だよね……そんな事を人生の最後に考えながら

死を迎えたが、死の直前に


『その願いを叶えてやろう』


という声が聞こえたのであったが、その声は神の声であった。

その声の主によって俺の魂は光に包まれたのであったのだが……

もしかして、神が願いと思って叶えようとしているのか?

いや、最後に何んとなく思った事だから、叶えられても困る!

それに、俺は女になるつもりはないから、頑固拒否する!

ただ、神からの返事はなく、俺の魂は天に昇って行ったのであったが

一応、地獄ではなく天国には行けたようだ。



―—ファーガスの死後から200年後、ここはとある王国の城


王妃が産婆に付き添われ、出産をしていた。


「王妃様、あと少しでお生まれになります」


産婆がそういうと同時に、王妃から無事に赤ん坊が生まれ泣き声が部屋に響く。


「おめでとうございます、女の子でございます」

「3人目は女の子ですか……」

「はい、王妃様に似て可愛い、女の子です」

「生まれたてはみな、かわいいのですよ」

「確かにそうですが、それでも可愛いですよ。

産湯で洗いますので、お抱きになってください」

「ええ、そうします」


王妃に抱かれた女の子……実は、それは200年前に死んだ伝説の

勇者ファーガスの生まれ変わりであったが、もちろんそんな事は国王も王妃は知らない。


「無事に生まれたか!」

「はい、かわいい女の子です」

「お前に似て、美しい姫になれよ」

「もう、あなたったら。ところで、名前は何とします?」

「既に考えておる、名はフローラだ」

「フローラですか、良いお名前です」

「そうだろ。お前は今日からフローラだ、私が父親である国王だ」

「フローラ、わたしがあなたの母親ですよ」

「国王陛下、これからフローラ様に乳を与えますので」

「わかった。フローラ、元気に育てよ」


国王は部屋を出て行ったが、王妃は赤んぼに乳をあげる。

赤ん坊は乳を元気に飲むのであったが、最強勇者の生まれ変わりであっても

フローラにはファーガスとしての人格も意識はないので、自分が最強の勇者の

生まれ変わりと知る事もなく、そのまま姫としてすくすく成長していくのでありました。


――そして17年後。


わたしが17歳の誕生日を迎えた夜にベッドに入ると

急に頭が痛くなったが、それと同時に体験した事のない記憶が蘇る。

それは、魔王との戦いや戦争の記憶、そして自分が男性であったと言う記憶でありました。

中には17歳の女の子には好ましくない物もありましたが、この記憶はわたしの前世の記憶であるとすぐにわかりました。


「な、なんですかこれは……前世の記憶?

わたし、前世は男性で勇者だったのですか?

でも、この勇者って……お母様が幼い時に読んでくれた本の勇者ですよね?

確か、その勇者って200年前に死んだそうですが

わたしがその勇者の生まれ変わりって事!?」


頭が混乱しましたが、その混乱も前世の記憶とわかるとすぐに収まりましたが

前世の記憶が戻ったと言っても、人格はわたしのままであります。


「前世の記憶が戻りましたが、でも、わたしはわたしのままですよね?

前世の記憶があるだけで、今までと全く変わっていませんが

ファーガスは……死ぬ時に守られる側になりたいって願ったのですね。

それで、神様が姫……つまり、わたくしにしたという事ですが……

ファーガスは姫になりたくないと言っているようですが……」


声が聞こえた訳ではあらませんか、そんな事を言ってる気がしました。

わたしの人格はあくまでも、フローラでありファーガスの声や神様の声が

聞こえる訳ではありません。

ただ、わたしも一応はファーガスでありますから、ファーガスの気持ちはわかる様です。

でも、この感覚は嫌じゃはないですし、わたしはお父様やお母様、従者の方

騎士の方たちに守られているから、ファーガスの願いはかなっています。

それに、わたしが実は伝説の勇者の生まれ変わりなのはかっこいいですし。

前世の記憶が戻っても、変わりがないのならば今まで通り過ごせば

よいだけですので、わたしはそのまま眠りにつくのでありました。

 

 翌日、目が覚めましたが前世の記憶を思い出したとはいえ人格も

わたしのままなので何かが変わる訳でもなく、朝起きると侍女たちに

着替えを手伝ってもらい、身なりを整え、食事をとり、馬車で送られ

何時も通りに学院へ行くのでありました。


「フローラ様、ごきげんよう」

「ごきげんよう、アリス」


教室で話しかけてきたの公爵令嬢で幼馴染のアリス・フォンブ。

フォンブ家は王族から分かれた公爵家で、わたしの親戚です。

わらしは貴族や王族が主に通う学院の生徒でありますが

立場が立場なだけに、わたしに話しかける生徒が少なく話しかけても、一言二言はなしをするだけです。

なので、学院の話し相手はアリスだけなのです。


「フローラ様、また新しい本を読んだのですが……」


アリスは本が好きで、新しい本を読むとわたしにその話をします。

今回は攫われたお姫様が、若くてかっこいい騎士に助けてもらうお話でした。

アリスはお姫様が攫われて、騎士や勇者に助けられる話すが特に好きなのです。


「フローラ様、お姫様はやはりカッコいい騎士様に守ってもらうのですか?」


とアリスが聞いてきます。


「アリスも知っているように騎士はいますが、わたしだけではなく

お父様や、お兄様たち、妹を守るための騎士ですので」

「フローラ様、もちろんわかっています。

わたしが聞きたいのは、騎士の中には若くてカッコいい男性がいるのかなんですよ」

「若い騎士はいますが、物語の様なかっこよい騎士と言っても良いのでしょうか。

かっこよいと言われれば、確かにかっこよいのですが。

それに、わたしたちを守るのはベテランで、戦歴のある騎士となりますので」

「ということは、カッコいいおじ様たちに守っていただけるのですね。

それはそれで、良いかもしれません」

「もしかして、アリスは騎士ならだれでも良いのですか?」

「誰ともとはいいませんが、カッコよければおじ様でも構いません」

「はぁ……」


わたしは呆れますが、前世のわたしだったら、わたしがアリスを守ってあげられます。

ただ、あるのはあくまでも前世の記憶と知識で、学院では剣術の授業がありますが

勉学と運動が得意なわたしでありますが、なぜか剣術はまるでだめです。

ファーガスが17歳の時点で、無類の強さでありその事は伝説などに残っております。

しかしです、守られる側になりというファーガスの願いからなのか、

剣術など戦いに関する事はギリギリ試験に合格するほどなのです。


 姫なので、護衛の騎士や兵士が居ますので、戦えなくても良いのかもしれませんが

かといって、国王の娘であるわたくしが試験に合格ギリギリなので良くはありません。

勉学と他の運動でカバーしてりるとはいえ、文武両道を掲げる王室なので

これは恥ずかしい事なのですが、いくら鍛錬をしましても上達しませんのでどうになりません。

なので、神様がそのようにしているのではないかと思います。


「チャイムが鳴りましたし、席に戻ってください」

「そうですね、ではまた休み時間に」


アリスが自分の席に戻り、授業を受けますが今日も剣術の授業もあります。

前世の記憶が戻ったので、いつもよりは上手にできたら良いと願いました。

ただ、この願いは叶わないとすぐにわかるのでありました。

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