俺の仮面は完璧ですか?
藤泉都理
第1話 弟と姉
純潔・清浄無垢なダイヤモンドの君。
欺く・惑わす・戯れるイエローアパタイトな僕。
さあ。
君と俺と僕の虚妄の演目の、開演だ。
「ねえ。あんた」
「なーに。ねーちゃん」
「いつまで私の家でぐーたらしてるわけ?」
「やだなあ。ねーちゃん。僕、ちゃんと働いてるよ」
「そうね。働いてるわね」
「でしょー。ちゃんとお金も渡してるよねー」
「そうね。もらってるわね」
「だったら、家にいる時ぐらい、ぐーたらしていていーよねー」
人をダメにするとの謳い文句のあるカーペットの上で、ぐうたらしている弟を見下ろした姉は片手で目を覆って、天井を見上げた。
「こんなんが本当によく人気あるわよね」
「えっへん。ちゃんと演じているからねー」
鼻を高くさせた弟に、姉は少しは家事を手伝えとやわらかいクッションを投げつけたのであった。
「本当によく演じているわ」
机の上に置かれた雑誌の表紙を見た姉は、我が弟ながら恐ろしいと言葉を紡いだのであった。
「もう別人よ」
(2023.10.24)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます