@mizumositataruOKOGE

第1話 英雄と1本の剣

「僕はいつかヒーローになりたい!」

いつかの少年はそんな夢を見ていた。

本当は悲しい結末になるはずだった。

1本の剣と会うまでは━━━━

少年はヒーローになるために日々鍛錬をしていた

朝早く着いてからまずは素振りの練習。

基本中の基本、しかしこれも1歩としては

大切な鍛錬だ。1001,1002,と続いていた。

「ッ!?」

傍の草むらから音がした。

ここは元々、草むらだった場所を

訓練所に作り変えたんだ。

しかも、ここら辺はいつ来ても

人は来なかったはず。

つまり人では無く獣の可能性が高い。

しかも、ここで鍛錬していて

獣が出てきたことは少なからずあっていた。

そう思い、木刀を構える。

そこから出てきたのは、、、剣だった。

禍々しい黒色と赤黒い血液のような色の剣

所々で赤い光が漏れ出ている。

そこにいるのはこの世のものとは

到底思えないほどの狂気的且つ、

どこか神秘的な剣を前に

蛇に睨まれた様に無気力になっていく。

「やぁ、こんにちは。小暮くん。」

その言葉を聞いた瞬間、我に帰った。

戦わなければ死ぬ。そう思い、

木刀を強く握りしめ、その剣へと立ち向かう。

「うぉぉぉっ!!

俺はヒーローになるんだぁぁぁぁぁ!!!」

自身を勇気づけながら放ったその一撃は

見事に躱れて、そのまま気絶した。

━━俺は死んだのか、?

クソッ、!俺はまだ終われないのに、!!

ヒーローにまだ成れて無いじゃないか、!!

「━━━━━━━れくん。」

「東小暮くーん。おーい」

ハッ!?誰かの声?、俺は生きてるのか、!?

「大丈夫かい?」

丁度、目が合った。とても深い真紅の瞳。

髪はショートヘアの黒髪で、

赤いシャツを着ていた。

「あ、あぁ、大丈夫です。

あなたが助けてくれたんですか?」

「あぁ、いつもはこっちに来ないんだけど

たまたま依頼の用事がこっちでね

それで帰りに君が倒れていたから。」

安堵したとき、ふとあの剣のことを思い出す。

「あっ!?あのー赤黒い剣みたいなのを

見かけませんでしたか!?あれを見かけたら

早く村に伝えないと!!村が危ない!」

「ん?赤黒い剣?そんなもの無かったけど、、

よく分かんないけど剣なんて動く訳ないでしょ

多分、小暮くんの幻想じゃないの?」

「いや、でも実際に見たんですけど、、、

ていうかなんで俺の名前を知ってるんです?」

「あー、、ちょっと私に知り合いが居てね。

貸しがあるから返そうとしたんだけど、

君に返してくれって言われてさ。

それで名前を知ったってわけ。

とはいっても場所までは分かんなかったから

たまたま会えたのは幸運だったよ」

「あ、そうだったんですね

でも貸しを返すっていったって

何をするんですか?」

「君、ヒーローになりたいんだろ?」

「ッ!はいっ!俺はヒーローになりたいです!」

「なら私が修行をつけてあげよう。」

「修行ですか?」

「そう。私は剣術には長けていてね。

私がその剣術を教えて力をつけるんだ。

ヒーローには力は欠かせないものだからね」

「これからよろしくお願いします!!

えっと、、名前はなんて呼んだら、?」

「ん?あぁ、私の名前か。そういえば

名乗って無かったね。そうだな、、

気軽にネストとでも呼んでくれ」

「ネスト師匠!俺、頑張ります!!!」

「師匠はよしてくれ、せめてさん付けで頼むよ」

「はい!!」

こうして俺とネストさんの修行が始まった。

今までは仮装の相手と戦っていたが、

実際に戦う相手がいるとこうも

上手くはいかないものだ。

まずネストさんは俺の攻撃を全て稲してきた。

俺の攻撃全てにカウンターを仕掛けてくる

やっぱりネストさんは凄い。

剣の腕はピカイチだ。俺の村の父さんと

同じぐらいの実力じゃないか?

凛々しい立ち振る舞いから分かる隙の無さ。

無闇に振っても、ダメだ。

振りを最小限に抑えて一瞬の隙ができた時に

全てを決めよう。

「ほら、どうしたの?小暮くん。

かかって来なよ。」

今度こそ1本取ってみせる。

「うぉぉぉぉっ!!!!!!」

最小限に抑えた初撃。

予定通り稲されたが問題ない。

このままならカウンターにも反応できる。

「さっきと変えたね。ちゃんと対処しきれてる

じゃないか。」

行けるっ!このままなら勝てる!

だんだんとネストさんの構えも崩れてきている!

あともう少し、もう少しだけ耐えろっ!!

「おわっ、!」

ッ!!体制が崩れた!!ここで決める!!

あぁ!これで勝てる!やっと!

「取ったッ!!!!!!」


カンッ


ッ!?嘘だろ、?いなされた!?

さっきのでもう余裕は無かったはず。

なのになんで━━━━━━━

「ブラフだよ。弱いものが強者と戦う時、

弱いものは一発逆転を狙おうとする。

その心情を読み取って、ちょっと大袈裟に

すれば引っかかって終わりさ。

でも、私のカウンターに対処できるように

なっているところは成長してると思うよ。

案外、私もブラフがなければ負けていたかも

しれないし」

ネストさんに勝てるかもしれなかったのか、?

俺はあのまま押していれば、、!!

「もう1戦!勝負してください!!」

「うん。その意気だ。」

日に日に俺も強くなってきている気がする。

最初こそ負け続けていたが、

だんだんとネストさんのカウンターを

いなすことができるようになってきた。

弱い稲しに対してはあえて強く切り倒す。

呆然一方になれば蹴りで牽制する。

色んなことを学び直せたな。

多分、ネストさんと出会ってから

3ヶ月くらいになっただろう。

ひたすらネストさんと戦ってきた。

今日こそ絶対に勝つ!!

「勇ましくなったじゃないか。

楽しくなってきたよ。」

「俺は、ネストさんに勝ちます!」

剣を構える。静寂が訪れ、

草木が揺れる音だけが残る。


カンッ!!

両者ともに剣を鳴らす。

そこから試合のゴングが鳴ったようだ。

剣を互いに稲し、弾きながら

怒涛の剣撃が行われる。

落ち着け、意識を集中させるんだ、!

稲して攻撃を叩き込め!

次の行動を予測しろ!

「とても強くなったね!私も負けてられないな」

ッ!!蹴りを入れられ遠くへ飛ばされたっ!

スタミナが回復される前に押し切る!

━━違和感を感じた。

何故かは分からないがこのまま押し切ると

負ける気がした。

もしかするとネストさんは一発逆転を狙って

居るのかもしれない。

俺はその考えに従い、全てを出し切る。

「ハァァァァァァァッ!!!!!!」


バキッ

!?、木刀が折れた、?

「あちゃ〜耐えきれなかったか、、

そういえばこの木刀ずっと使ってたね、」

「えぇぇぇー!?!?そんなぁぁ!!」

「でも、勝敗は小暮くんだと思うよ。

多分、木刀が折れて居なければ

私は負けていた。」

「えっ!?なら、、」

「うん、おめでとう。修行は終わりだ

教えることはもう何も無いよ。」

「うぉぉぉぉっ!!!!!!やったぁぁ!!」

「お疲れ様。今日はゆっくりと休むといい。

何かご馳走でもしようか?」

「っ!はい!色々食べたいです!!」

「そうか、では行こう。小暮くん」

辛かった修行を乗り越えてきたここに

俺はヒーローとしての力を得た
















はずだった。

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