第13話 村瀬の決意

「警察が今日来るときに、このことを伝えた方がいいんじゃないですか?」

 真は村瀬の顔を見ながら言う。

「伝えたところで、無駄よ。十三年前の事件は、きっとそれほど難しい事件ではなかったと思う。それを未解決事件としてされたのは犯人が凄く頭の切れる人で、警察の考えを錯乱させたか。それか、警察が何らかの形で捜査を早めに打ち切りにしたか……」

「そんな……」

「例えば、この事件も池田さんの自殺で終わってしまうかもしれない。そんなことで終わらせることはないかもしれないけど、大勢の警察がこの辺鄙な村に足を運ぶ方が難しいのに……」

「となると、しばらくしたら、警察は捜査を打ち切りにさせるということですかね?」

「何もそうなるかどうかは分からないけど、十三年前の事件をたどると、そんなことはあり得るんじゃない? 指紋とかが付着していない、物的証拠がない限り……」

 村瀬は廊下に出て、登坂の部屋のドアを一階にいる人たちが上がってこないか気にしながら、ノブを回して引っ張ろうとしたが、開かなかった。

「鍵がかかってるのか……」

「僕らは鍵を貰ってないのに」

 村瀬はスタスタと、別のドアを開けた。

 そこには椎名がベッドの上で寝息を立てている。

「椎名さんも、鍵を貰ってなさそうだね」

 村瀬はそう言って、ゆっくりドアを閉めた。

 田中と野口のドアも開けたが、カギはかかっていない。

「あの爺さんだけだね。鍵持ってるのは」

 村瀬は両手顔の近くまで上げて、お手上げのポーズを上げた。

「どうしましょうか? これからもう七時近いし」

「あんまり、探索したら爺さんに不審な顔を見せられるから、ここは強行に及ぶしかないね」

 村瀬は腰に手を当ててニヤッと笑った。

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