第2話「最後の誠」

今ある人生は

荒れ果てた荒野にある

誰もいない

誰も来ない

そんな世界だ


私と世界とで境界線を引いて

別々の光景を見ている

誰かが私を連れ込んだ訳じゃない

気づけば、こんな荒野に居た


なるべくしてなった現実

誰かが悪い訳でもない

全ては成り行きだった

空気を読んでいたら

一人になった


そうして取り残された場所が

いつの間にか

天に近すぎる場所だと気づかされ

死を隣り合わせに

地を這う


もうここには誰もいない

誰も訪れない

どう生きればよかったのかな


場に合わせてうなづくだけで

身に着けたものも噓っぱちで

損得だけで動いていた

だから一人になった

だから悪かった


もうごめん

本当にごめん


もう遅いけど

このまま廃人になる前に

まだ泣けるうちに

死んでおく


それがきっと

私にできる本物の善意


だからバイバイ

幸せでね。


さよなら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る