　（約束、合ってるよね……？）

　今週の水曜、13時。先輩とデート

　スマホのカレンダーに目立つ色で入れられた予定。忘れない様にしていた、楽しみにしていた予定。

　現在、15時。

　（何かあったのかな……）

　心配になり、私は先輩の家まで走った。

　傘を鬱陶しく思い、閉じて右手に握りしめて走った。

信号機に捕まり、乱れた呼吸を正そうと膝に手をついて肩で息をする。

　信号が変わり、また走り出そうとした瞬間。

　私の周りから音が消えた。

　目の前では、先輩と、同じ部活のマネージャーが仲良さげに相合傘をして歩いていた。

　濡れていく事なんて、気にならなかった。

　ただ、目の前の光景に胸が痛くなった。

　何度も告白してきて、鬱陶しかったのだろうか。それとも、私を嘲笑うために付き合ったのか。先輩の考えていた事なんて、分からない。

　不思議と涙は出なかった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい