闇神性児 第8部 セアイ瞳の棲家

水瓶

第1話 語られる世界

 湖沼を歩く胎蔵はセアイに導かれ貝柱姉妹と何年振りかの再会をする。

…どのくらい経過した。廃炉街に住んでいた頃、確か水族館で一度逢ったな!

しじみはセアイを瞳の中に戻すと項垂れた。

あなたとは何度となく逢っていた。タイプが違うから遠ざかってきた。まさか14音階の歌い手が……!

蓮の葉の雫にあさりは眼を移した。

ポケットのしじみはもうじきティンカーベル症候群で小指程に縮まる。鳥に乗って海に落とされ珊瑚の森へ行ってしまうのよ。みんな在るべき姿に変わる。

……あなたが廃炉街にいた頃、近所で不審火が多かったわね。ライブハウス放火後の教室の女の子が良く焚火してた。あなたでしょう、あの気味悪い呻き声、半魚人の劇場から消えて私達も廃炉住宅離れたわ。


…片付けたポートレート、部屋にある一つ一つその時代の想い出、好きで集めた所有物だった。アドレス帳に載っている友が一人ずつ居なくなるの、悲しいわね。あの時喉につかえた熱い吐息を私は忘れていた。

玲子さんは何処にいるのかしら?


胎蔵は玲子の名に振り返る。

萬苔教の人かい!

あと放火後の娘ってモエルってツインテールラビットの娘かい!

みんな…繋がってるのか!

胎蔵の回想を他所に姉妹は玲子との思い出を口にしていた。

姉さん!講演会の破壊と再生の授業は面白かったわ!

絶えず質問攻めの私に良く応えてくれたわ。

疑問を持たなければ、ただ食べて寝るだけの幸せを満喫して時は終わる、人間高望みしなければ幸せだ!

お金の多さと意地の悪さは比例するのか。共産独裁の人々は情報が偏る事を知らない故に幸せだ!

参加者の映画女優は幾つも顔を演じ分ける。のっぺらぼうだからこそ顔や心を付け替える。

彼女!膨れっ面していた。

胎蔵くん!ごめん!放っといて!

畦道を跳ねる蛙の皮を剥ぎ胎蔵は食べようとしていた。


みんな…待っている。行こう!

貝柱姉妹に誘導され、胎蔵は蛙を放り投げると後をついて行った。



廃炉街を見下ろす高台を登り根継ぎされた巨大な鳥居を潜る。

丹塗りにあたる陽射しに眼を背ける。

此処が萬苔教の本部なのか!

海の香りが上昇気流で溜まり橋懸りを渡り本堂に向かう西廻廊を巡って行った。


唇から音符が流れる少年が或る村にいた。

母はダンサー歌々愛姫子、二人の子供がいたわ。妹は歌舞伎役者に殺され首を自室に飾られ、兄は半魚人劇場で母とショーをして生活していた。…胎蔵はセアイの話しが自身の物語だと悟った。

…魂は入る器を探し世界を彷徨っている。上手く相性が合えば良いけど、魂にも期限がある。仕方なくつまらない肉体を宿主とする事もある。一度入るとその人間の寿命まで同居するしかない。不適合な者は犯罪を犯すわ。

あなたの前世ね!

セアイは色々な人々の瞳に棲息して何世紀も生きて来たの!過去から未来これからも魂を語り継ぐのだわ!


♪…成るべきものに近づくのが幸福だよ。それが暗黒洗礼であろうと!心のままに生きる事の辛さもセアイは知っていた。


物心ついて初めて見たのは霊安室に横たわっている父親の死体だった。

私には明るい未来は子供の頃から閉ざされていた。

そのままの道に進めば良かった。正しき世界など望まなければ、違う世界で神になれたかも!私は美しいものを求め過ぎた。邪悪な物を追求すれば良かった。すべては手遅れだ。余りに風月を重ね憎しみが持続しない。精神や体力の限界だ!もう少し若ければ、残念でならない。


年を取らないと言う事は時計が無くなったからか、時間が無くなったからか、あの日から年月は進まない。

けど私は、生きている。

季節が幾つか過ぎた筈、記憶ではあれから15年!でも私達は歳を取らない。肉体的、精神的にあの頃と変わらないのに……!


 嬉しいとき私は空を見る…山を見る…悲しいとき私は海を見る…沈みたいって思うからかしら!…本能かもね!


教場の庭伝いに雑木林が広がり道路側の池の畔、一本の椿が葉を茂らせている。空から降りる囀りに耳を澄ますと鳥達の話し声が聴こえる。


あさりは妹(しじみ)に鳥語を訳す。

…此処に来ると紅葉の餌場にご飯があるね。私達メジロ用のみかん、雀さんはパン屑、ガラスの餌受けには林檎の皮、細かく切って食べやすくしてあるよ。意地悪ヒヨドリが来るとメジロを追いやる。私達雀は集団だから平気。メジロは2羽で来るから片方が見張り、そう云えば私達に美人の対の雀が生まれたね。集団を好まない変わり者でしょう。

あっ〜ヒヨドリさんは蕾や花を啄む。がっつきだな〜!

うん、鳥の世界も智慧が必要!


オナガがヒヨドリを追いやりヒヨドリの餌を鳥が奪う。身体の大きな鳥がやはり強いのか。それで雀は集団で護衛する。雀は順番を待って餌を食べるわ、他の鳥も順列があるのね。人間を弾くのは人間、肌の色、階級、差別意識は変わらない。そういう人間が駆逐されれば良いのに社会は逆!…このシステムを変えたいと思ったわ。


…此処の生活にも直に慣れるわ、貝柱姉妹に玲子は告げた、街は汚染されて抗体のある人以棲めないし、地上は変態や化物、毒に強い者に支配されてしまった。

……素足で庭を巡ると苔の上に紅葉の絨毯、此処にある樹々すべてが神族が育てた物や自然に育った物、

萬苔蟲が羽根を広げ一斉に乱舞する。あの蟲は殺された女の陰部から産まれた蛹が成虫になったもの。

……気候がまた変わるわ、急いで室内に戻らなければ、蟲が苔茸を求めて地面を引っ掻き回す。私達も間違われて切り刻まれる。縁側から退くと苔茸を貪る様に啄む萬苔蟲が空へ群を成して遠ざかっていた。


あの蟲には別の説もあったわ、山奥で獣が苔茸を食べて蟲に変わった。蟲は支配欲に目覚め人間界へ降りた。萬苔蟲というカルトを創ったが造反され萬苔茸と二つに別れた。獣蟲派と萬苔派とが、数千年闘い共に滅びたとね……!



♪ 萬物の流れに身を寄せてセアイが旅する。


風化した遺跡を歩きましょう…!

良く見渡してご覧なさい。此処が地球の果てなのかって!

…人間は自然に近いものへ戻っていくのかもね!土や風や海になる日を待って共存していく。

あらっ…こんな処に紅い芽が!

瓦礫の風が土埃を舞いかける踝に、彼女は草の根が絡んだ隙間を覗いた。植物の力を手に入れたいわ。

風に乗り見知らぬ孤島で繁殖する。


玲子さん!此の島に着いてから世界はどう変わったのかしら。

エンリコ魔死闇は転生して闇神に成れるかしら…!

いいえ…答えは!誰も何も分からないわ…!

時間を遡る小舟でもあれば探せるけど、

鬼魂の霊石集めにみんなが必死だわ。

土の底にあるモノの痕跡は?あれは?

さっき芽を見つけた場所!?

瓦礫を掘り返す気!引き返しても、此の広大な廃墟!

いいえ…!

彼女が迷路を見渡し遺跡に戻ったが紅い芽は無かった。


♪…玲子とギナの会話に聴き耳をたてるセアイ…


 ギナはダイアングルを通過すると玲子のもとへ来ていた。


 …風聞き草がそよぐ頃萌えた季節も終わり陽向に向かい問い掛ける。

これからどう生きようかって…!

弱音じゃ無いのよ ねえどう思ってた、違う国で生まれても共鳴する魂、血を分けた血族でも感性が違う人。魂の同胞は何処にはぐれてしまったのか、逢える日は来るのだろうか。私達は幾つも時を超えて此処にいる。この場所は望んだ未来ではないかも知れない。

ギナは玲子の前で語った。 

…秋は売らない春は売らない夏を飛ばして冬売人、あなたを氷に閉じ込めて私だけの人にする。

…私はシャワールームで少女達の太腿を伝う赤い血に関わった。

春を売るのは十代で蕾が青から赤くなる。

夏を売るのは三十路まで花弁赤く熟します。

秋は乾きが襲う頃 そして私は凍りつく冬売人…!

春に売られる花々よ…夏に売られるかき氷!秋の果実…栗や桃!

冬には売られるものがない!

いえいえ私は…薪を売る…


そうね…私にもそんな時代があったわ。ノートの端に綴られた切なさ千切って丸めて、背中の痣が数え切れない 痛くはないけど悔しくて鉛筆握って折っちゃった。

あの時ほど誰かが恋しいと思った事は無かった。切なさが切なさが心に溢れてこぼれた。


旅の果があるのなら見つかるまで歩くわ… 落とした優しさを拾って涙を拭いて集めるわ…

切なさが切なさが沸いてこぼれて待っている!

足元で動く想い出が居ない家族を偲ばせる……!


三つ並べた箸置が今はひとつ…

心が抜ける風穴から思い出が巡る。


あの日薙ぎ倒されたのは塀だけじゃ無かった。愛の絆、遊園地も日干狩りも、海の花火も写真の笑顔、家族風景、みんな戻らないわ。


縁日で回る風車をねだる子供の手を引いた。

優しい母親の顔には近づけない。

幸せには誰かの犠牲がある。

豊かな暮しには貧しく働く人の姿がある。


電車の中でシルバーシートに座る母親、赤ちゃんを抱っこしてミルクを飲ませていた。隣では幼児が玩具の車で遊ぶ。すべての母親が子供に悪人になって欲しいと思って育てる訳じゃない。


国なんて滅んでも民が助かる道を私達は選んだ。

玲子は白くなった髪を掻き上げると頬に伝う涙を小指で弾いた。


ギナも憶ひ出していた。


 あの日メビリー養護院の運動界リハーサルを観て気持ちが回帰した。それぞれの遊具で遊ぶ子供達を視て高い声が耳に届き、ふと…純粋さが戻る。公園のベンチで日向ぼっこする老人に死の間近な日数を浮かべ、スーパーで万引きする老獪な老人に逢った日は気分が重くなる。良い人良い風景にめぐり逢いたい…付き合いたい…そう願ってわ。

フェンスの網に白い羊がマスコット 塀の上に置き換えたわ。

3日後には無くなっていた。なぜか嬉しかったの。

些細な出来事がとても嬉しかったの。あの時と同じやっと…逢えた、仲間達…!


♪ 天罰は願うから起こるものセアイは目の辺りにした。


 ローレルの枝に雀が止まり柿の枝に移る、蜆蝶がセージの葉に潜る。

東の空にもうじき飛行機が飛ぶ頃だ。空は曇っている。エンリコの本を閉じ玲子は眸を閉じた。


 萬苔蟲が翔び地上の穀物を食い荒らす。疫病が流行り動物は感染する。温暖化で氷が解け大洪水が起こり地表は高地のみ残る。魚が異常発生して星の姿が変わった。奇形種が産まれ支配者も変わる。空皇、海皇、地皇、天は下がり地は窪み海は面積を拡げる。地皇陛下は獣人から誕まれた。海皇陛下は魚介、深海から誕まれる。大洪水の後、高地の者のみ生き遺る。噂されたが水が引いた後方舟で生き残った者もいた。


 錆びたガードレール沿いの右手に造成地が現れる。

霊気の道を抜けると藁で編んだ案山子が畑に立っている。

靴紐の緩みを締めなおすと黄色い蝶が同系色の花の蜜を吸っている。


 人間は豊かになると他人にも豊かさを分け与えようとする。

施しや分配に気持が動くのに、自分だけ豊かさを追求する貪欲な者もいる。玲子はあの日方舟の順列から外れた。

「私は良いからこの母娘を乗せてあげて」見ず知らずの人の愛に護られて人は生きていくの!

母娘は礼も言わず玲子の肩を押し退けると他人の荷物を奪い乗船した。

沖の彼方に船影が消えて空が裂けると闇が覆い始める翅音が反響した。

最初の方舟が萬苔蟲に襲撃され沈む。…人には神に与えられた運と寿命が在るのだろうか…!



 ♪  ふわっと回転してセアイは木々の梢に留まった。


 院長室のソファで彼は考えを纏め歩き始めた。

ツアーとは何だろう!人が落としたゴミの臭いを嗅ぎながら名所を巡る。不味くて高い食事をして喜ぶ。

高額な旅費を払い月並みの土産や名産品を買い家に帰ればゴミになる。

観光客は世界中を旅して幸せを探すけれどそんな物は何処にもない。

青い鳥なんかどこにもいない。歩き始めた彼は躓くと指を骨折する。

細胞も老化していく。若い血を吸わなければ!

もうじき暗黒零年が始まる。

神の居ない日が始まる。私達の時代だ!闇裏元年!ヤミューラガンネン!散らばっている同志よ…!集え!

メドウセージがオペラハウスを隠すペランダで日光浴をして眼を閉じる。あの湯畑に浮かんでいた生首、エキスが出たら晒して行くらしい。

何日で干涸らびる。この暑さじゃ数日かかるまい。木乃伊さんだ!

心配ないよ!

口に含んだ生シラスの感触、これっ…なにかの味に似ている。頭が舌に引っ掛かる。記憶がある日へと遡行していく。

純粋な世界で才能を延ばすことが出来なかった私は悪意の世界で卑屈に才能を延ばした。いつか蔑まれた個人が集い邪悪が纏まればカルトに変わる日を望んだ。

闇裏は社会を否定する集団となり時が来るまで潜伏する。預言の日に現れる闇神を待つ!


♪ そろそろ眠くなってきたわ。セアイは眠い眼を擦り飛翔すると街を見渡した。


白い焼却炉は火葬場の煙突、それを目指して来てね!左手に雄大な景観を持つ大自然が一望出来るわ。そして右手には幾何学的に組まれた都市群、この世には自然が産み出した

美と奴隷が築き上げた遺跡が共存する。直進すると廃炉街からは遠い山の中腹を切り拓いた新興住宅地が広がる、広大な土地を一人の財閥が買い取り教団に寄贈したという。

白い二本の煙突の参道を抜け出る、

煙突に窯元の名がある遠い昔は陶芸町なのか!想像を働かせる。


……私の家…すぐ分かるわ緑の屋根の家だから…!

彼女はそう云ったが駅を降りて小一時間探したが緑の屋根が多すぎる。

高台からかなりの数の緑の屋根が視えた。

正方形のビル群が列なる。建設中のビルにより掛かるクレーンって蟹の脚みたいだ。思わず呟いていた。

……私は編み手側からの世界を覗いたメビリーさんに遅れた言い訳をした。

緑の屋根が多すぎて迷ってしまいました。

メビリーは運命の糸を編んでいた。縦糸は過去、横糸は未来よ…メビリー編機でタペストリーの糸を無限に操り壮大なスペクタクルを彼女は編む。異次元編機メビリータペストリーに編み込まれた人間は意図せぬストーリーに入り込む。編まれた者の物語は破滅か絶望か脱出か!逃れるには糸を抜くか焼くか違う模様で編まれるか、型紙の図案を変えろ!

心が色を混ぜながら囁いた。



♪ 空中に漂い光の点となるセアイまだ彷徨っているの……あなた達人間は…!


不遇な信者達に希望を与える。昇華する。どこにいるの!不透明な救済者と遭わなければ……!


夜の静寂に包まれて呼吸を合わせ眼を瞑る。私の頭で創られる摩訶不思議な夢織巻…!…


人が創った町や遺跡を人が壊す。

世界は人が居ない方が良いのかも知れない。自然のみ遺れば平和なのかも知れない。争い、欲望、利権等人が居なければ…地球は平和だ!

石は考えない、土や空は考えない!すべての人が居なければ生命は自然淘汰で生きて行く。文化も芸術もその頃まで戻せば地球は幸せかも知れない。


♪ まだまだ悩むのね 私疲れちゃった。セアイは瞳の塒に溶け込んで行った。




ダイアングルの囚人


 時としてダイアングルは悪人を封じ込める檻となる。忽然と消えた者が囚人となり捉えられていた。

強い磁場で抜け出せず臭菌帝は藻掻いていた。

タービー鬼怒川はポマードを肛門に塗り布団の中に潜り込んできた。

いつもの性癖だ!豚のマスクをつけた臭菌帝はザリガニを入れた穴に彼のモノを誘導した。ザラザラした感じだ。ユーなにかいつもと違うと嗚咽が漏れた。

血まみれになったペニスを布団から出して鬼怒川は呻いた。ユーなにするのよ!

慌てて逃げ出すと前に蟹張が待っていた。

ユー美少年ね!

蟹張進久しぶりの御馳走に泡を吹いた。

蝶々蝶々おまん蝶が舞う釜からナイチン茂が跳び出すと整列した。


 変態聖者の粉岩こけしが裸で腰掛け椅子に揺られている。亡者のコートを着たら肌にひっついて取れなくなったと嘆いている。これじゃ裸こけし軍団長だぜ!上からなにか羽織ろうが、しまいには燃え尽きちまう。横で聴き耳を立てながら浦英雄はウニ朗に友達にならないかと誘ってみた。

ウニは綾取りをするエゴミに聞いてみた。無言で首を横に振る仕草で嫌がってるのがわかる。

早くここから出たいわ!

眠っていたら知らない間に連れてこられた。キラキラして眩しいわ、私もっと暗い湿ったところが好きなの。ポコちゃんもそうよ!クッククックゥと味噌っ歯で肩に噛み付いた。

 

痛みを堪え独りで包帯を巻いたが、見かねたエゴミが手伝うと傷口が開き黄色く濁った膿の汁が垂れてくる、膿の海よ、泳ぎましょう。

虚ろな吐息を吐きあたりはエゴミ゙の好きな病院の独房に変わる。

 

 エゴミはオムライスが好きだ!半熟の卵が人の顔に視えると話しかける。彼女の口癖はこうだ!

誕生プレゼントなら食事を奢って、形になるものは別れた後思い出すから、

エゴミは別れ癖がついているのか!

またある晩、緊急呼び出しスイッチがなった。冷蔵庫の蓋を開けてポコチャンに話すエゴミがいた。

…平原の三つの生き物!平原にいる蟻からしたら空の位置は低いの!10センチ上が空よ!

私、今ある世界が滅んだ夢を何度も見たわ。まさに蟻なのよ!私達は!

…雲が浮かぶ所が空なら中間はなによ!巨人から見た視点と蟻から見た視点、私はそれを何十回何百万回考えたかしら、私と蟻と巨人の捉え方

、永遠と話すエゴミの眼は明らかになにかに支配されている。

……萬苔蟲の蛹が中に居るのエゴミは股を拡げると穴の奥を見せた。よく見て、動いているでしょう!育てると半月後に蟲となり翔び立つのよ!蟲の性格は宿主に似るのよ、だから私が育てる蟲は穏やかで聡明なの!早く産まれないかな〜!


 エゴミは笑った喉の奥から蛸の足が見える突然脚を伸びすと吸盤が吸い付く、顔がめくれあがり胴体から4本の脚がでた、腕が脚に変わると腹が裂け頭が出てきた脚が変わり完全体に変わると外壁をよじ登り始めた。


ウニは頭痛がしてきた。だから何なんだ!

お前が俺を悩ませるのは止めにしてくれ!


ダイアングルを通過するとき列車は徐行する。魚の頭にすげ帰ったダイアングルを超えるともとの龍頭に戻った。

貝柱姉妹は中に囚われている囚人達を見つめた。


……萬苔教でのひとときは楽しかったのに、お姉さんギナと入れ替わりにメビリーの糸を掴むんだから。

そうね…廻廊の一室に迷い知らない内に列車に乗ってたわ ……!


          続く




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