第九十話第一国奪還戦⑦




扉を引いて中に入ると、先に進めなくなった。

どうやらムービーが来るっぽいな…




*




部屋は薄暗く、月明かりが奧の大きな窓から差し込んで辺りを妖艶に照らし出す。


最奥には玉座が2席あり、片方は空席、もう片方には男が鎮座している。


男の周りに浮遊している灰色の玉がアップになり、怪しく輝き


光が宿っていない男の瞳もアップになり、カメラが引いていく


そして男が口を開く



「どうやらネズミが一匹入り込んで来たみたいだな。」



男は静まり返っている部屋の中に爪の打音を響かせる



「しかも執念深く、厄介なネズミのときたか…」



男は苛立っているのか手に青い血管が浮かび上がり、打音がより一層響く



「ネズミは何故何度何時も湧くのだろうか…」



打音が止まる



「……根源から潰さねばな…」



男がゆっくりと立ち上がり、灰色の玉を掴み、どこから取り出しいつ着替えたのか防具を身にまとう。



「私はネズミにも容赦はしないぞ…!」



name ゲイル

種族 人族(ヒューマン)

職業 玉の厄災の使徒

HP 1.25G×5

MP ???


STR ???

VIT ???

DEX ???

INT ???

AGI ???

MND ???


skill

???



[ワールドボス【玉の厄災の使徒 ゲイル】との戦闘を開始します。]




*




演出かっけぇ…!

俺にもこういう演出あるのかな…?

ユニークモンスターだしあるよね!(ありません)



(精々ネズミに遅れを取られいようにしてくださいよ?)


「最近のネズミは生意気なことを言うようだ」



…煽り耐性まぁまぁないね…だって額に青筋できてるし…いやこれはそもそも俺が来たからか…



「…玉、力をよこせ…」


[【玉の厄災の使徒 ゲイル】が【玉の厄災】から[元素魔法][魔力超回復][魔晶生成][階段飛ばし]を借用しました]



やっぱりあの灰色の玉が【玉の厄災】なのね。

そしてなんでゲイルが【玉の厄災】を使えているのかも分かった。

【玉の厄災】の全てを使うのではなく、【玉の厄災】に保存されているスキルだけ借用して使っているからだ。


ほとんど全てのスキルの情報を一気に流し込まれると暴走したりするけど

数個なら脳が許容できるのだろう


でもそれは【玉の厄災】をしっかりと知っていなければ使えない方法だろう。

【玉の厄災】の情報はまじのお偉いさんしか知らないだろうし、ゲイルみたいなやつには知らされてなかったと思う。


人体実験を繰り返して、【玉の厄災】の情報を集めたのなら別だろうけど……流石にやらないだろ…やってたら人として終わってるし……いや、こいつそもそも人として終わってたわ、じゃあやってるか


──この間わずか0.1秒


で、肝心のスキルの方は

[元素魔法]……これは知らん。聞いたことも見たこともない


[魔力超回復]……たしか、1秒に5MP回復。ぶっ壊れ


[魔晶生成]……回復して溢れたMPを結晶に変えるスキル…結晶を砕くとMP回復だったかな?


[階段飛ばし]……スキルを発動する時にMPを追加で消費することで、エフェクトとか、呪文、クールタイムを飛ばすスキル。

強いんだけどMP消費がでかすぎる。

一回500MP…それもこの消費量、元のスキルの強さとか、呪文、クールタイムの長さ、によって消費MP増える…

今まで見た中で一番多かったのは極級魔法の一番強いやつで消費MP2000…



多分[階段飛ばし]めっちゃ使うこと前提の[元素魔法]連打構成…範囲魔法連打とかやめてよ〜…


それと今思ったんだけどHP多くね…



「手始めに…[クイックウェイブ][クイックフレア]…[スチームバースト]…!」


─ジュッ…ボォン!


(…なかなか速いですが当てられなければ意味がないですよノーコンさん?)



ゲイルが[クイックウェイブ]と唱えると右手に青い塊が、[クイックフレア]と唱えると左手に赤い塊が出現し、両手をそのまま合わせて、[スチームバースト]と言った瞬間俺の少し左が爆発した。


なんか、煽っちゃったけど内心大焦りである。



(お得意の大道芸が一段落したのなら…こちらからも遊んで上げますよ…!)


「ほぅ…ネズミが大口を叩いておいて逃げ腰ではつまらんからな…」



許可も頂いたので、鎌を小さいクナイに分解し、一気に投げ、おまけに余っていた鎌を銃に変え連射する。


これで少しはダメージは入れられるだろ──



「こんなものか…」


(…っ!)



全くメッセージが入らないまま無傷のゲイルが顔を出す。



「少々期待外れだな…[メテオ][フレア]…[ブレネンスター]×10」



その魔法作る工程も飛ばせるのかよ!てか範囲広すぎっ!

確かこういう時はボスの真後ろが安置!


[魑魅魍魎]と[浮遊]を駆使して少しずつ隕石と衝突しそうな床を縫うように進みゲイルの真後ろに移動し、そのまま爪に変形させておいた鎌で数回ゲイルの背中を切りつけた…はずなのに…



(まじかよ…)


[ゲイルの[ウェイブシールド][フレアシールド][ウィンドシールド][ロックシールド][グラスシールド][アイスシールド]────により攻撃が無効化されました]



シールド多すぎだろ!なんだよこれ!

4回ぐらい殴って後退したらメッセージ流れてこれだよ!

4×40で160ヒットだよ!?これシールドも160枚以上あるってこと…?


多分ゲイルは、借用してからすぐにシールド系の魔法を階段飛ばしで発動しまくってヤヴァイぐらいにシールドを張っている。


つまりこのボスは攻撃ではなく注意しなければいけないのはシールド…防御だったか…今度からは気をつけよう



「さぁこれで理解しただろう!もうお前に勝ち目はないと言うことをな!大人しく私にやられるのだな!」


(ええ、よくわかりました。次からは気をつけようと思います。)


「次だぁ?お前に次はない…何故ならユニークモンスターなのだから!お前は私に排除され、一生表舞台には立つことはない…!」



…何故ゲイルは俺がユニークモンスターだと知っている?

イデアが元からユニークモンスターならあの時に完全に死んだはずだ。

なら必然的に俺が転生した時にユニークモンスターになったか…イデアが完全に死なかった間にユニークモンスターになったか…

どちらにせよゲイルがイデアがユニークモンスターになったことは知り得ないはずだ


そして排除という言葉…ユニークモンスターにはロストするしか書かれておらず排除などと言う文面はない…

ただ単にゲイルの言い回しの可能性もあるが何かきな臭い気がする…



(次はありますよ…)


…[骸咆哮]


─ウォォォォオオン!


「とうとう気でもおかしくなったか…?突然叫び出して…でもこれは正常なのか…忌々しい魔物なのだから…!」


(いえ…私は至って正常ですよ…!)



また[魑魅魍魎]を使いゲイルに接近する。

ゲイルは慢心からか妨害するための魔法も使ってこない…新たにシールド貼ったような素振りもない…!


途中でメグリニに憑依してプレイヤー達を恐怖のどん底に落としていたふわりんを呼び出し[従魔統合]を使い、魔狼になりステータスを底上げする。


固定ダメージを切って、爪をゲイルへと突き刺す!


「……もうお前が何をしたところで─っうぅ゛あが…!」

 

[[一極化]により、STRへ極フリします。【玉の厄災の使徒 ゲイル】に4.12Gダメージ!連続ヒット!追加で160.68Gダメージ!生命吸収によりHPが12.5k増加します]


[【玉の厄災の使徒 ゲイル】の生命力弱まりました(ゲージ残り4)]


(いつまでも自分を守ってくれる盾があると勘違いしないことですね…)



久しぶりのちゃんとした戦闘なんだ。

楽しませてくれよ…?







ご愛読ありがとうございます!

もしよろしければ★★★と♡のほどをよろしくお願いします!

モチベになります!


オーバーキルにも程があるぜ…


ゲージはダメージ持ち越しはありません。連続ヒットでも同様で全部あたってから次のゲージへと移行します。


あと更新できずすいません。

少し忙しくなりまして、まじで忙しいときは今週のように更新が開くことがあります。申し訳ありません。


忙しくても週一は投稿するので、期待せずお待ちください。


にんげんだもの    さくを


追記

[一極化]後のイデアちゃんのSTRは約737kあります。

これでもシリキラさん以下ェ…



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