王城にて(別視点)




─今より少し前


(別視点)



資料の山を片付けている昼時

いつもなら静かに小鳥の声が聞こえるだけなのだが今日は珍しくノックの音が執務室に響いた


─コンコン…



「陛下…少々ご報告が」


「報告するなら早くしてくれ、あと報告ならノックはいらん」


「…失礼します」



いつも言っているのに物事は早急に報告連絡が重要だと…

まぁそれは礼儀なのだろうけどな



「…やつか?」


「はい、確実とは言えませんが。今日確認したところ封印の祠が開いていました。盗掘者が勝手に入ったという線も──」


「もしもは考えずに。封印が解けたという前提で動け、何事も非効率だとしても失敗の芽は摘む必要があるからな」


「了解しました。では失礼致します」


「ああ…少し待て」



机から一枚の紙を取り出し、臣下に差し出す



「聖国の異教徒どもの言う通りになるとも限らない。戦力は万全に整える必要がある」


「そうですね。神託を授かっているといっても主神からではないですからね…確実とは言えないでしょう」


「だからこれだ」


「これは……Ⅳ、Ⅴランクまでの強制招集依頼ですか…」


「そうだ。小汚い冒険者共に協力を乞うのは少々癪だが…あの決戦を思い出すとだな…」


「私は十分だと思いますが…やっておくにこしたことはないですね。」


「お前はあれを目にしていないからそんな悠長なことが言えるのだ…お前も読んだことはあるだろう?」


「ええ…[死骸のあがきに大軍が壊滅]したことですよね?あれって創作ではなかったのですか?」


「そうだ…わが軍がさせられたんだ。運良く私は生き残り、死骸のあがきは一撃のみで終わったのが救いだった」


「別の魂が入ってるとはいえ肉体の強度は変わりません


「おい…その語尾を二度と俺の前で使うな…棺桶の蓋を眺めることになるぞ」


「も、申し訳ありません…っ…、」



臣下の背中からはひしひしと幼稚かよと言いたげな感じが伝わってくる



「あと映像記憶の魔道具はもっと見つからないようにしておいたほうがいいぞ」


「…なんのことを仰っているのですか?私はそんな物を持ち運んだ記憶は──」


「はぁ?そこの棚の隙間にいる魔物みたいな……って魔物ではないか?!さっきまでいなかったからお前が中に入れたんだ!だからさっさと捕らえてこい!さもないとお前の家が不審火で燃えてしまうだろうな!」


「り、りょ…了解しました…、」



翌日王都にある有力な貴族の家が盛大に燃えた







お読みいただきありがとうございます!


ようやく人族側が主人公を認識した模様。


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