第二十二話【戦場】
Free Time Onlineの歴史に残る戦いの一つプレイヤーの間では【焦熱の歴戦】と語られている。
その戦いの後では人族側と魔物との戦い──戦争が増えていくこととなる。
この戦いの勝者には絶大な恩恵がもたらされ、敗者には多大なる絶望が襲いかかった。
この戦争は歴史上最も長く、最も荒々しい戦争であった。
これから語ることは明日起こるかもしれないようなことであり、はたまた永遠に起こることのないことかもしれない。
だがこれだけは覚えておかなければならない。
「決して見くびってはいけない。徹底的に全てが終わるまで全てを疑え」と───
──────とある歴史書からの引用
*
《イベント当日》
ふぅ…何かものすごく寝てた気がするけどきのせいだろう…
全身が気だるく、ずしっ、と体に響く。
これは疲れからくるものだろうか?
いや、緊張しているからだろう。
手のひらに人を書き飲み込む…
[開始まであと1時間を切りました。準備を始めましょう]
さぁ…世に俺達の力を知らしめてやろうじゃないか
*
《同時刻のサーデム》
(とある戦士視点)
「どなたか!パーティーを組んでくれませんか!AGI特化戦士です!」
行き交う人にパーティーを組んでくれと頼んだとしても話を聞いてくれるどころか皆見向きもしない。
唯一話を聞いてくれた人はAGI特化だといった途端、態度が急変して逃げるようにして去っていってしまった。
AGIは確かにあまり強くない。戦士をするならちょうどいいぐらいにAGIに振ってその他はほとんどSTRに振るのが基本だ。
AGI特化戦士は回避盾もできるし、何ならDPSなら基本の戦士よりも上だ。
だが欠点がある。速い過ぎることだ。
AGI特化戦士は速すぎて制御が難しすぎるのだ。
相手の攻撃を避けようと後ろに下がって後衛にぶつかったり、前に出ようとして魔物に激突したりとかなりの地雷職だと言われた。
それでも俺はこのビルドをやめなかった。FTOではどんな変なビルドでもなんとかなるってじっちゃんが言ってたんだ!
そうしたらソロでエリアボスを倒せるようになった。これで皆から地雷職だと疎まれることがなくなるとその時は喜んだ。
《サーデム》で活動を始めるととあるプレイヤーの名前を聞くようになった。
何でもソロでやってる戦士でβ版のときに強いとされていたMND戦士らしい。
MNDはナーフされまくったせいで核だと言われているほど嫌われているステータスだ。
それなのにそのMND戦士はソロで高難易度クエストを何度もクリアしているらしい。
噂では《フォーバル》の推奨レベルはとっくに越しているらしいが、なぜか《サーデム》から先に進まないらしい。
そしてそのMND戦士と比べられた。
お前はあいつぐらい変なビルドなのにこのくらいしかできないんだと
あいつに比べるとそうでもないなと
期待外れだったと
勝手に期待されて勝手に失望する。
ようやくパーティーを組めたと思ったら追放されるの繰り返し。
こうなったらソロでやってやると夜のフィールドに狩りにいった。
そうすると数回パーティーを組んでいたフレンドがPKをされようとしていた。
俺は誰がPKをしているかなど確認せずにそいつに向かって剣を振り下ろした。
結果は散々だった。
PKはあの最狂PKだったし、結局助けられなかったし、そのフレンドがフレンド欄から消えてしまった。
あの場でパーティーメンバーがいれば少しはフレンドを助けられたかもしれない。
もしくは自分もああなってしまうのかもしれないと思ったのかもしれない。
すぐさま冒険者協会でパーティー募集をした。
掲示板にもパーティー募集をした。
しかしまだパーティーは組めていない
もうここには俺のことをPSでみてくれる人はいなくなってしまった。
MND戦士とも一回だけパーティーを組んだことがあった。
あの人は何事にも注意を怠らなかった。俺が苦手な所を補ってくれた。他の奴らより少し気にかけてくれたそれだけだろう。
そして彼はいなくなった。
いつの間にかいなくなっていた。
皆 《フォーバル》に進んだんだろうと言う。
きっとそうだろう。
そうなんだろう。
だから俺はパーティー募集を探す。
きっと彼は先に進んでいるのだろう。
そして俺は見つけた彼の募集を…
[スタンピード用パーティー募集]
現在1人 [戦士]
アーラム連合国 スキュレン
#スタンピード #ちょっと待って一人なんだけどw
*
そしてもう一つ歴史に残る戦争がその時起こった。
たった一人による魔物総勢2000体の蹂躙劇だ。
*
オレ コウシン イッシュウカンモ シナカッタ スイマセンデシタ
デキレバ ★と♡ ヨロシク オネガイシマス
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