キスまでなんだからね!偽恋人な幼馴染みの様子が、近頃何だかおかしいんだが?
じん いちろう
第1話 プロローグ
「ファーストキッスなんだからね?」
軽く唇を合わせ終わり、抱き寄せた身体を離そうとしたら背中に回された両手でガッチリとホールドされてしまった。
「もっと、ちゃんと、思い出に残るようなキスでお願いね?」
お前、初めては俺と、とっくに済ませてるだろう?
小学校の頃だけど。
その後も、散々しただろ!
「わかった、舌出して。」
思い出に残すならこれぐらいは良いだろうと思い、唇で舌を吸い出しながら片手でシャツのボタンを外し始めたら、
「駄目よ、お触りは服の上からだけね。」
止められてしまった。
「服の上がいいんなら、下着の上からでも一緒だろ?」
「……………………それもそうね。下着までだからね!」
いいのかよと思いつつもお許しが出たので再び唇を吸いながら、ボタンを外したシャツの隙間からブラ越しに胸を弄る。
「あん、胸触られるのも初めてなんだから、もっと優しくして!」
嘘つき。
中2まで一緒にお風呂に入っていて、洗いっこしてただろ?
コイツ、あれ程のエッチい行為は、全てノーカウントなのかよ!
俺の立場って、コイツにとってそんなに軽いものだったのか。
ショック、でかいぞ。
中3の夏休みに最後に添い寝した時には、挿入寸前まで行ったんだぞ?
健康な男子が、同じく健康な女子に添い寝を所望されて、我慢しろと言うのは無理なお話で。
あの時は処女膜は破ってないはずだけど、興奮しすぎて記憶が曖昧でどこまでお触りしたのか自信がない。
お泊り自体は、お互いの両親公認だったしな。
その時はもうコイツにキスは禁止されてたけど。
その直後に、何故か疎遠になったんだよな。
傷付けたんだろうか?
対応がぎこちなくなったとでも言うのだろうか?
登下校に誘われる事も少なくなり、少しだけ悲しかったりして。
「今、余分なこと考えてたでしょ?集中して!」
「はい、お嬢様の仰せのままに。」
「………………………………それも、これからは無しね。」
高校入学直後の、初めての週末。
『告白』ラッシュに見舞われて嫌気がさした幼馴染みの依頼を受けた、『偽恋人』の立場。
偽恋人ならどこまで許されるんだと尋ねた結果が?
どうしてこうなった?!
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