~〇〇無双~ 名門魔術学院を首席で卒業した俺、次席卒業の大手魔術企業のボンボンに逆恨みされて就活を妨害され、無職になる。「そんな時に出会ったのが、この〇〇でした」
第1話 名門魔術学院を首席で卒業した俺、次席卒業の大手魔術企業のボンボンに逆恨みされて就活を妨害され、無職になる。
~〇〇無双~ 名門魔術学院を首席で卒業した俺、次席卒業の大手魔術企業のボンボンに逆恨みされて就活を妨害され、無職になる。「そんな時に出会ったのが、この〇〇でした」
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第1話 名門魔術学院を首席で卒業した俺、次席卒業の大手魔術企業のボンボンに逆恨みされて就活を妨害され、無職になる。
俺――ライナス・グレイクは今、就職の面接を受けていた。
いわゆる就活というやつだ。
「大変申し訳ありませんが、ライナスさんは不採用です」
「不採用……ですか。あの、自分で言うのもなんですが、俺の学歴や実績はかなりのものだと思うんです」
「おっしゃる通り、ライナスさんの学歴や研究実績は抜群ですね。名門の中の名門カサンドラ魔術学院を首席で卒業。さらには在学中に著名な論文賞をいくつも受賞。実に素晴らしい成績と実績です」
「ではなぜ不採用に? 理由をお聞きしても構いませんか?」
「これは他言無用でお願いしたいのですが、とある筋からあなたを絶対に採用しないようにと強い圧力をかけられておりまして」
「とある筋?」
「これ以上は言えません。魔術業界に強い影響力を持った、あなたもよく知っている相手とだけ言っておきましょう」
「それってもしかして――」
「どうかそれ以上は言わないでください。あなたに恨みはありませんが、うちみたいな場末の個人商店は、あそこに言われたら従わないわけにはいかないんです。商品の入荷を止められちゃいますんで」
「そうですか……わかりました……」
俺は肩を落としながら力なくつぶやいた。
そんな俺は、超名門のカサンドラ魔術学院を首席卒業した、いわゆるエリート魔術師だ。
しかし王立魔術院や魔術騎士団を始め、魔術系のありとあらゆる関係機関、企業をことごとく落とされてしまった俺は。
今、ここがダメならもうどこも無理って感じの、個人経営の零細魔道具屋の面接官(=店主)から、お断りの言葉をもらってしまった。
「どうぞお帰り下さい」
「本日はお時間を割いていただきありがとうございました。失礼します」
俺は零細魔道具屋のカウンターから立ち上がり、店を出た。
(個人経営の小店舗に面接室なんてものはないので、店のカウンターで面接を受けていた)
店主が言った「ある筋」ってのがどこの誰かは、聞かなくても分かる。
カサンドラ魔術学院で俺に次ぐ次席で卒業した、業界最大手の魔術企業のボンボン御曹司だ。
あのボンボン御曹司は、俺に主席卒業を譲ったことを激しく逆恨みしていた。
『今に見ていろよライナス。この俺を怒らせたことを後悔させてやる。調子に乗っていられるのも今のうちだぞ。くくく……』
卒業式という晴れの日に、憎悪に
「何をするのかと思っていたが、まさか実家の権力を使って俺の就職に圧力をかけるとはなぁ」
そのせいで俺はカサンドラ魔術学院の首席卒業生としては初となる、就職浪人の危機を迎えていた。
「上から下までこれだけ広範囲に圧力がかけられているとなると、こりゃ魔術関連の仕事はもう無理だな。はぁ……」
もはやなす術なし。
にっちもさっちもいかなくなった俺は、失意の溜息をつきながら途方に暮れていた。
そんな時に出会ったのが──この『マナ・ケール青汁』でした。
せっかくなんで、俺とマナ・ケール青汁との出会いをちょっとだけ説明するとだ。
俺にはシルファって名前の同い年の幼馴染(女の子だ。かなり可愛い)がいたんだけど、
「元気だしなってばライナス。人生は山あり谷あり。そのうちいいことあるよ。なんならうちの農場で働かない? パパもきっと喜ぶよ」
そう言って、失意に沈む俺を元気づけてくれたのだ。
「俺、カサンドラ魔術学院でも研究にいそしんでたし、肉体作業はあんまり向いてないんだよなぁ」
「男だろー。そこは根性見せろー」
「ま、実を言うと農耕や土木に使える魔術もあるしな。根性なんてなくてもやれるとは思うぞ」
「ふへぇ、そんなのあるんだ。魔術ってほんと便利だねー」
「言っとくけど俺が特別にすごいんだからな? なにせカサンドラ魔術学院史上最高の天才って呼ばれていたくらいなんだから」
「自慢げに言ってるけど、今は無職なんだよね?」
「天才過ぎたのが仇になったかなぁ」
「もういっそのこと、うちに永久就職しなよ? パパもライナスのこと気に入ってるし」
「正直それもありかなって思ってる」
「ほんと? じゃあライナスにプロポーズされたってパパに話していい?」
「『それもありかな』でプロポーズになってしまうのか……」
「こういう話はどんどん進めた方がいいの。じゃあオッケーってことでいいよね」
「ちょ、ちょっとだけ待ってくれないか? 俺にも心の準備ってもんがだな……」
「やだ。待たない」
「即答かよ!?」
なんて話をしながら、シルファのお父さんが経営している大きな農場にやってきたのだが。
農場のあぜ道に生えていたものを見て、俺は目を疑った。
「おいシルファ、これ!」
「え? どれ?」
「これだよこれ! これ、マナ・ケールじゃないか! なんでこんなところに生えているんだ? しかも小規模だけど群生してるなんて!」
「怠ける?」
「なまけるじゃなくて、マナ・ケール。魔力の源であるマナを含んだケールの総称だよ」
「ふーん?」
「ふーん、ってお前。これがどれだけ価値があるものか知らないのか?」
「価値? こんなのただの雑草でしょ? まったく、こんなにたくさん生えちゃって、やんなっちゃう!」
「だー! 待て待て待て待て! さも当然のように抜こうとするな!」
しゃがみこんだかと思うと、無造作にマナ・ケールをひっこ抜こうしたシルファを、俺は後ろから羽交い絞めにして全力阻止した。
密着したところから伝わってくるシルファの柔らかい感触と、甘い匂いにドキッとするが、今はそれどころではない。
(後半に続く)
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