転生キャット 冒険者の俺は猫として第二の人生を歩む あぁ、こんな猫生も悪くない「チ○ールの為に魔王を倒す!」

羊犬

第1話【冒険者、馬は立派な凶器だと知る】

「はぁー、体が重い・・・」


ため息と愚痴を肺から吐き出しながら

俺は人通りのまばらな王都の道也を歩く。


魔物との戦闘を生業とする

冒険者の俺だが

今回の相手は特別強大で

相手の居城に乗り込み

何とか勝てたものの疲労困憊のグロッキー


そして「家に帰るまでが冒険!」と言う

格言があるように

たとえ疲労困憊でも

その身体を引きずって

無事帰還しなければいけないのだ。


して、王都にやっとこさ

帰還したものの

身体も精神も限界

何とか最後の気力を振り絞り

宿屋までの帰路を行軍中なのである。


「視界がぼやけてきた・・・。

眠い・・宿についたら

めいいっぱい寝てやる・・・!」

半ば無意識に呟いたとき

唐突に背後から叫び声が響く。


「わーーっ!!」

「キャーーっ!馬が!!」


・・馬?

俺がのっそりと振り返った時

その目に映ったのは

巨大な馬と馬車のシルエット

そして俺に向かって飛んでくる

その馬の大きな蹄だった。



・・・・・・・・・・・・?

次に俺の意識が戻ったとき

視界は闇の中だった。


真っ暗だ・・ここはどこだ?


体はどこも痛くない。

気だるさや体の鈍さのようなものはあるが

怪我をしているような感覚はない。


俺は夢でも見ていたのか?

あるいはこれ自体が夢か・・・?


いや、感覚ははっきりしている

ただ上手く目が開けられない・・?


それに何だろうか?

やけにふかふかした何かに

全身を包まれている。


やけに弾力があり

ふかふかした何か


次の瞬間

湿らせた布で

乱暴に顔中を拭かれる!


なっ、何だ!?


動転する意識の中で

今の状況を確認すべく

俺は必死で目を開ける!


何かが目の前に居る


視界がまだぼやけているが

何か大きな存在が

じっとここちらを見つめていた。


そして次第に輪郭が鮮明になり・・

そこには巨大な虎の魔物が居た!


「虎の魔物!」・・と叫んだつもりだった。


しかし、俺の口からはそんな声は出なかった。


いや、出はしたが

それは俺が考えていたものとは別物だった。


「ウミャ!」


・・は?ウミャ?

何だ今のは?俺が言ったのか?


おい!こら止めろ!

俺の顔をベロベロ舐めるな!


「ウミャ!ウァ!ミャー!」


しかし、俺の口からは

猫の鳴き声のような音しか出なかった。


何とか顔を舐めてくる

虎の魔物に抵抗しながらも

改めて周囲の状況を確認してみる。


俺の周りには

この虎の魔物の子供だろうか?

俺を囲むようにして

寝息を立てている。


妙にふかふかしていたのは

この毛玉達だったらしい。


そしてグイグイと

おしくらまんじゅうでもしているかのように

こちらに圧力をかけてくる。


えーぃ、鬱陶しい!


圧力をかけてくる虎の魔物を

押し退けたとき

自分の腕がふと視界に入った。


・・何だこれは?

猫の腕?

なんで?

・・そう言えばさっきの鳴き声。

え、嘘?


はぁーーーっ!?

「ウニャァーーっ!?」


これが俺の新たな人生・・

いや、猫生の始まりだった。


~キャラ紹介~


【主人公】

農家の四男。

生きて行く為に冒険者の道を進み

その才能で

王国最高戦力の一角まで上り詰める。

しかし、平民の為

貴族階級からは快く思われていない。

馬に痛恨の一撃をくらう。


2話は明日

10月25日7:00に投稿予定です!

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