『完結済み』天野快斗の神殺し伝説 『一章』
快魅琥珀
第1話 始まり
「ハハハ………笑ってしまうな、本当に。」
「…………。」
黒い服を纏った白髪の少年は、左右の色違いの瞳を彷徨わせ、何も無い虚空を掴もうとする。
「お前は強い。俺では………勝てない……。」
少年が見る先に、語り相手はいない。いるのは後ろだ。だが少年は最早それに気づくことすら出来ないほどに弱りきっていた。
「俺では勝てない。だから………」
語られている側の人物は、その少年がこちらを向く前に刃を振り下ろそうとした。決してないと思っていたその出来事が起こる前に。
「ふ………」
少年は笑い、そして、勢いよく後ろで剣を振り上げた人物に顔を向けた。ローブを纏い、顔が見えないその人物は、振り向かれた事に驚きもせず、ただ固まった。
「託す………俺じゃない誰かに……!!」
少年はローブを纏った人物の胸元を掴み、引き寄せ、宣言する。
「お前を……神を……殺させる!!」
遥か頭上では光の炸裂が起こり、無重力空間で掴み合う2人を飲み込んでいく。少年は蒸発し、ローブの人物はそのまま消えてゆく少年を見つめている。そして、少年の意識が飛ぶ寸前、ローブの人物は笑い、そして嘯いた。
「やれるものならやってみろよ。悪魔。」
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