第5話

優衣視点に戻ります

=   =   =   =   =   =   =


「復讐だなんて。そ、そんな酷いこと出来ないわ。」


「自分を攻撃してくる相手にやり返して何が悪いんだ?それに、復讐は自分が幸せになるために必要な第一歩。つまり、大きな転換期なんだ。優衣さん、その一歩を踏み出そう。僕も全力でサポートするから。」


「.......私なんかが幸せになっても良いの?貴方のお兄さんにやり返しても良いの?」


「血のつながりしかなく、自己中で醜悪な人だ。どうなろうと構わないよ。それじゃあ、僕と優衣さんは復讐のパートナーだね。よろしく!」


「うん。うん!よろしく!!」


私と悠人君はそう言って手を握り合った。ズタボロだった私の心に光を照らしてくれた悠人君の言葉は私を受け入れてくれるような、つつんでくれるような。そういう優しさを感じた。


それと同時に、もう二度と離さない...........!!というような力強さも感じた。




「毎日、尽くすように働いて、家事をして支えてきた私が今日帰れなければ、あの男は怪しむだろうし、疑うだろうから、今日は一度帰ることにするわ。」


「優衣さん、無理しちゃダメだ。近くのホテルの予約状況を確認するから、そこで一泊してきたら?今探すから、ちょっと待っててね。」


「そんな、大丈夫よ。今まで通り、振る舞えば良いだけだから。汚らわしいという気持ちを消せば、耐えれるはずよ。演技派女優っぷりの演技をしてみせるわ!あっ.........そうだ、悠人君の家は?邪魔にならなければだけど」


「なっ!?うっ...........えっ、それは...............」


「うーーーん?やっぱり迷惑だよね。」


「やっ、いや、全然迷惑じゃないけど」


「けど?」


「やっぱり、優衣さんはまだ愚兄の妻だし、男性の家に行くのは良くない。それに、僕の心臓がもたないよ...................」


「うふふ。ちょっとからかっただけなのに、可愛いんだからっ

................................よし、じゃあ行ってきます!」


「行ってらっしゃい。僕の方でも知り合いの弁護士さんの所を当たってみるよ。」


「ありがとう。出来る範囲で良いのよ?」


「死力を尽くします!!」


ビシっっ!!!!


そう言って悠人君は敬礼をした。じゃあ、お願いしちゃおうかなぁ~?

ウインクして帰路についた。


私には誰にも味方はいないと思っていたけど、まさか身近なところにいたなんてね。本当に嬉しい。あんな男なんかに負けてたまるもんですか!


「よっしゃーーーーー!!いったるでぇぇぇぇぇぇ!!」


そう叫びながら、家の玄関まで猛ダッシュした。


ハァ、ハァ。この年で何度もダッシュするとしんどいわね。


「遅かったな。ほら、早く夕食の準備を。こっちは腹減ってんだよ。」


そう言って勇人はリビングへ向かった。


こっ、こいつぅぅぅ!腹立つぅ~~~~!!あの女はもう帰ったみたいね。

あっ、いけない、いけない。平常心..........平常心


「ごめんなさい、すぐ作るから。」


そう言って、急いでキッチンへ向かってお肉を焼き始めた。

なんで、私こんな奴のためにご飯作ってんだろ........


「ったく、今日は結婚記念日だろ?こんな日に何考えてんだよ。」


................悠人は昔からどこか抜けていたから、今日が結婚記念日だって覚えていないんだと思ってた。でも、覚えていて、この日に女を家に連れ込んだのね。

許せない.........................絶対にやり返してやる......!!








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