中国古典怪談『閲微草堂筆記』抄訳
@gekogeko1988
第1話 青苗神
私の故郷では、青々とした苗が田野を覆い尽くす時節になると、毎夜、畦道の間にとあるものが現れる。
それは頭と足の区別が無く、逆さまになって飛び上がるように進み、着地とともにドンッドンッと築地を杵で搗くのと同じような音を出す。
農家は見慣れた様子で不思議とも思わず、それを「青苗神」と呼ぶ。それは常々、農家のために幽鬼を追い払ってくれる。
この神が現れると、ありとあらゆる幽鬼たちは皆、各々の住処に帰り、敢えて田野を彷徨い歩くことをしない。この神について、古書には何も記されていないが、人に害なす妖の類でないことは確かである。
従兄弟の懋園がかつて李家洼でこれを見た。月明かりの下、仔細を見るに、その形状は袋のようであり、身体を折り返すごとに、一方の頭を地につけ、すこぶる重たげな様子でのっそりと歩いていたという。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記筆記』巻六「灤陽消夏錄六」より
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