透明且つとてもグロテスクなボロネーゼ.

SaJho.

intro.前



 


 この言葉の意味は、現時点で理解する必要はない。

 それだと情景が湧きづらいなら、記憶をシネマに言い換えると良いだろう。


 遠い耳鳴りのような空調の音。

 閑古鳥が啼く席の並び。悪くなったフィルムのせいで、あなたは今、映像のフラッシュに目を灼かれている。


 辟易としているかもしれないし、そもそも思考を捨てて、いつ終わるかもわからぬ映像を無感情に瞳に映しているかもしれない。


 あなたは、その時点で確信をする。

 今から見る作品は、二流未満のスリラーであると。











 ――『何者のものでもない手』










 あなたの、美しき悪夢は、いつもそこから始まるだろう?

 つまり、今日もそこから始まるのだ。


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