第13話 この世界の謎

「春渡、これいる?おいしいよ」


「あ、それ気になってたやつだ。一個ちょうだい」


俺らはコンビニの前でお菓子の交換会をしていた。自転車移動なので喉が渇いてコンビニに寄ったついでに購入した。


ちなみに俺らは今世界の果てを目指してる・・・らしい


世界の果てを目指してる割にはコンビニで談笑するし赤信号もちゃんと止まる。なんだこれ


「春渡〜遅い〜」


「ちょ、ちょっと待ってぇ」


言い忘れてたが莉々菜は電動アシスト自転車だ。俺は普通のよくあるママチャリ。今はかなり坂が急な道を走ってるので立ち漕ぎでも全然進まないが莉々菜の電動自転車は坂をグイグイ登っていく。


今は方向的に俺が2回目に列車に乗った路線の方に向かっている。方角と世界の果てという言葉から読み解くに列車が鳥取駅に戻ってきてしまう地点に向かっているのだろう。


「り、莉々菜・・ちょっとまって」


今、上り坂が連続する場所にいる。俺の足はもう限界をとっくに迎えていた。


「春渡〜」


莉々菜が上から笑顔で振り向いた。今日は晴天。見上げる彼女は女神に見えた。


「聞こえな〜い」


前言撤回。悪魔だ。莉々菜は俺に何かし返すようにどんどん坂を登っていき俺は置いていかれたが休憩するわけにもいかず最終的に自転車を手押しでなんとか坂を登り切った。


「り、莉々菜ごめんお待たせ」


莉々菜は坂を登り切ったところで待っててくれた。俺は上がった息を押さえながら何とか声を出した。


「じゃ、行こっか」


今日の莉々菜は悪魔というかドSだ。


ちなみに目的地までまだ半分も行ってないという莉々菜からの追加情報をもらい、俺の心は完全に折れてしまった。


坂を登ってしばらくは平坦な道だったが、莉々菜は自転車の速度をどんどん上げて行き、途中コンビニで水分補給を兼ねて休憩することになったが水分を取るより俺は座り込んでしまった。そんなこんなで3時間以上自転車を漕いでいると莉々菜が急に止まった。


「ここが世界の果て」


莉々菜のこの一言で不意に我に帰ったなぜ莉々菜がこの世界について知ってそうな雰囲気なのか、俺は疑問に思った。


「莉々菜は、ここを世界の果てって言ってるけど、なんでそんなこと知ってるの?」


「ん〜内緒」


謎だらけのこの世界について莉々菜は知っているらしいが、どうやら教える気は無いそうだ。


「一つだけ確認させてくれ。莉々菜は俺の敵なのか?味方なのか?」


敵や味方が存在する状況では無いが、急に周りの人の首がなくなったり怪奇現象が起きてしまう世界に不信感や恐怖を抱いた俺は全てを知ってそうな莉々菜に少し疑念を抱いていた。


「私はいつでも春渡の味方だったよ」


なぜか過去形で答えられた


「だったって事は?」


「それは自分で考えてみて。春渡が私に何をしたか」


俺の行動の何かが原因で莉々菜を怒らせたらしい


「すまん」


なんて返したら良いか分からず、また語彙力が無い俺はすまんとしか言えなかった。


「で、今私たちが居るのが”この世界の果て”」


「ここより先に進むと、例の鳥取駅に戻っちゃう現象が起きるってこと?」


「まあそういう事。歩いて来たから戻る地点は違うけど」


なんだかんだで莉々菜は色々教えてくれるようだ。俺はこの世界について色々聞いてみることにした。

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