第6話 体育祭編

「明日、ちょっと話したいことあるかも」


勇気を出して愛莉にLINEを送った。その後すぐ「分かった。また声かけて」と返信が来たのでスタンプで返信して体育祭前日の夜はベットに入った。


“俺は今日愛莉に想いを伝えて遊びに誘う”


付き合ってくれ!と言う訳ではないのでハードルは低いがそれでも緊張する。俺は一週間前以前の記憶がないのだが、この胸のざわめきはとても懐かしく感じた。こういう時、人は悪い方に考え込んでしまう。もしダメだったら、もし嫌われたらとタラレバしか思いつかない自分に嫌気が刺す。気づけば午前1時 流石にそろそろ眠りにつかなければ明日がヤバい。


結局この日は中々寝付けずイマイチ寝たのか寝てないのかよくわからない状態で朝を迎えた。


体育祭当日の教室はいつもと違いお祭りの雰囲気が出てる。クラスを見渡せば普段は紺系統の制服に身を包んでいた男女が華やかなクラスTシャツを着て、また女子に至っては普段より短いスカートを履いていて髪型も気合を入れているので見ているだけで顔がニヤける。俺も朝から気合いを入れてヘアアイロンに加えてワックスでおしゃれなカール感を出したマッシュヘアで登校した。寝付けずYouTubeでセット方法を勉強して真似てみたが意外とイケてる。我ながら。


「おっはよ〜」


俺らは相変わらずのメンツで集まっていた。その中にはもちろん愛莉もいる。何気ない日常で普段とは変わらず雑談しているけど俺の心の中は愛莉のことでいっぱいだった。


“多分、今俺最高に青春しているな”


胸の中でこの雑踏にこう結論付けて俺らは体育祭の最終準備へと向かった。


「ただいまより 第89回 鳥取県立南高等学校体育祭を開幕します」


寝不足のせいもあって半分ボーッとしていたがどうやら開会式が始まったらしい。まあこの辺は人の話を聞いたり、準備体操したりとあまり盛り上がらない場面なので正直めちゃくちゃ眠いし座らせて欲しい。


「え〜生徒の皆さんはほごs$%‘&%$&()」


多分校長先生が何か喋ってる。俺が眠そうにウトウトしていると


「ねえねえ、今日の髪、どう?」


隣にいた愛莉が話しかけてくれた。


「お、めっちゃ似合ってるじゃん!」


本来なら可愛いと褒めるべきなのだろうが、意識してる相手を目の前に躊躇ってしまった。それでも愛莉は


「ありがと!春渡も髪、似合ってる!」


と笑顔で俺の髪型を褒めて正面を向いた。半分寝起きだった俺にとっては心臓に悪いイベントだが愛莉に褒められて舞い上がってる自分がいる。


「さ〜て午前の種目、頑張るか! な、春渡!」


自分のクラスに戻ると颯太が鼓舞を打っていた。波乱の体育祭、色々やることはあるが高校生活でもトップクラスに楽しいイベントなのでまずはしっかり楽しむとしよう。

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