転生

勝利だギューちゃん

第1話 選択

僕は死んだのだ。

あっけなかったのだ。

まだまだやりたいことがあったのだ。


もっと、悔いなく生きておけばよかったと、後悔しているのだ。


そして、僕の魂はあの世へと誘われた。

もっと、生きたかったのだ。


天使に連れられて、大部屋に通される。

沢山の魂がある。


安堵の表情だったり、嘆いていたり、いろいろだ。

やはり、未練なく死ぬ者、悔いを残して死ぬ者。


だれもが全者でありたいが、今の僕は後者だ。


そこへ僕を誘った天使がやってきた。

そして、僕に笑顔で声をかけてきた。


「大丈夫、あなたは生き返るわよ」

「そうなんですか?」

天使にそう言われて、驚いている。


「こちらの手違いなの」

「手違い?」

「うん。あなたは90歳で逝去するわ」

後、70年くらいか・・・


「まあ、よくあるミスなんだけどね」

ミスるなよ。


「他の死者の魂を誘う時に、はずみでね。てへぺろ」

舌を出すな。


「ただ、手続きに少し時間がかかるの」

「どのくらい?」

「5年かな」

「そんなに・・・」


その間に意識不明が続くのか。


「大丈夫、5年といっても、あなたの世界では5日だから」

「ありがとうです」


ほっとしたような、残念なような。


「待っている間、退屈でしょ?」

「うん」

「その間に、他の生物に転生してみる?」

「出来るの?」

「うん。何がいい?」


何がと訊かれても・・・

何にしよう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る