第46話 一人で決めセリフを言えるのか!?
怪盗バトルロイヤルで優勝すれば、僕でも皆に認知される。
「ええ、怪盗バトルロイヤルは大規模です。そこで優勝して、さらに番狂わせまで起こせば、さすがにマスターのステルスも貫通できるに違いありません!」
目を輝かせて語るフォトに姫崎さんも頷いている。
「逆に言えば、メギド様は負ける事で失望しちゃう子も出るだろうから、人気を落とすかもしれないね。クチナシさんが優勝するのは相手に与えるダメージも大きいんだ」
「ほほう、いいですね。あのイキリ野郎が失望されるのはスカッとしますぜ。ざまぁ!」
「こう言うと失礼だけど、メギド様はあまり褒められるタイプの怪盗じゃないから、その分アンチさんも多いんだ。負けたりしたら、そこを突かれて炎上する可能性もあるよ」
さすが姫咲さん。そこまで計算していたか。
成績トップの実力を垣間見てしまった。
「普通にやればいいだけじゃないですか! 単純な実力勝負なら結局はマスターの独壇場です。もう一度聞きますが、宝石取得数でトップに立つのは可能なのですよね?」
「ああ、そっちには自信がある。探索は得意だ」
前に言った通り、コミュ力が関係しない真っ向勝負だったらむしろ望むところだ。
「ただ、ごめん。やっぱりそれだけじゃ弱いと思う。決め台詞で強烈なアピールをしないと、メギド様の人気を超えるのは難しいね」
「そっか。でも、それはもうフォト先生に任せるしかないね」
決め台詞はフォトに僕の声を使って言ってもらおう。
キザな台詞なら彼女の十八番だ。
フォトなら姫咲さんの言う強烈なアピールが十分できる。
この子の本領発揮といったところだ。
普段の過剰ともいえる自信をここで武器とするのだ。
そう思ってフォトの方を見ると、なぜか全身汗まみれとなっていた。
「フォト、どうしたの? 何か問題でもある?」
どうでもいいが、汗をかいたり白目を剥いたり目が血走ったり顔が青くなったりと、フォトは本当に多機能な人形である。
……あえて無駄な機能とは言わないでやろう。
「いや、あの……言いにくいのですが、実は本番で私がマスターの代わりに決め台詞を言うのは不可能なのです」
「ええ!? なんで?」
「安全のために大会の決め台詞は小型マイク以外、全てのアイテムが使用不可となります。それはサポーターも含まれます。だから私がマスターのそばに行くことは出来ません」
衝撃の事実が発覚した。それはつまり……
「本番は、マスターご自身が決め台詞を言うしかありません」
「…………嘘だろ」
とんでもない事になってしまった。
本番は僕一人で決め台詞に挑まなければならない。
コミュ障の僕がたった一人で、しかも強烈にアピールするなんてできるのだろうか?
「決め台詞対策を練らなければなりません。私の方でも作戦を考えておきます」
フォトが作戦を考えてくれるらしいが、果たして本番までに間に合うのか。
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