第15話 奏多、本選出場を決める
『本選出場を決めたのはこいつらだー!!!』
田中さんが勢いよく本選出場者の名前を告げる。
奏多
芽衣
暗女
真奈美
シャルル
霧切
ドレイク
ニンニン
以上の八人が本選出場を決めた。
ドレイクは第三種目では散々だったが、第一、第二種目では大活躍だったから出場を決めたらしい。
ちなみにドレイクのアイドル仲間はほとんど人数合わせだったらしい。
『本選出場を決めた方はこちらに集まってください!』
本選出場者が集まる。
ドレイクは姿を現さなかった。
さっきの俺との勝負が相当悔しかったのだろう。先に帰ってしまったらしい。
「あのドレイクが本選出場!? どうして!?」
「いままでの種目の活躍具合をみて本選出場者を決めてるらしいわよ。第一種目と第二種目の成績が相当良かったんでしょうね」
「でも……」
芽衣は納得いっていないらしい。
「北村奏多、俺を覚えているか……」
「えっ?」
突如、背後から不気味な声。
振り向くとそこには能面を被った不気味な男がいた。
「だ、誰だよお前」
俺は恐る恐る話しかけた。
「な、なんだと……貴様、この俺様を忘れただと!?」
「忘れたもなにもお前とは初対面だろ?」
「貴様、本気で言ってるのか? 俺様と熱い戦いを繰り広げたというのに」
こんな能面を被った奴と戦ったか?
俺は脳内でいままで戦った人たちのことを思い浮かべるが、まったく記憶にない……。
「思い出せないならいい。本選でお前を倒すのはこの俺様だ!」
「345番、ニンニン選手」
すると、突如スーツに身を包んだ女性がニンニンに向かってきた。
委員会の社員だろうか……いったい何の用だろう。
「なんだ貴様は?」
「あなた、失格です――」
「……」
突如、辺りに静寂が包み込む。
「は?」
「あなた、パートナーはどこにいますか?」
委員会の社員が冷たい声で告げる。
「ふん、俺様にパートナーなんぞ必要ない。一人で参加してきた」
「やはりそうですか、規定違反により、あなたは失格になります。ルールをちゃんと見ていませんでしたね」
「ルールだと? そんなの知らんな」
そういえば、ルールには二人以上で参加って書いてあったっけ。
「第二種目に参加するとき、あなたは分身を使って参加していたのを委員会側で確認しました。これは規定違反です。必ず二人以上で参加するようにルールに記載されていたはずでは?」
「ふん、こんなくだらないイベントに二人仲良く参加しろと言うのか?」
「言い訳はいいです。こちらに」
すると、横からガタイのいい黒づくめの男たちがニンニンを囲う。
「な、なんだ貴様ら!? 俺様は東に住まう忍者の一族だぞ!」
「はいはい、理由はこちらで伺います」
「くそっ! 覚えてろよ! 北村奏多ああああああああああああ」
ニンニンが委員会の人たちに連れられて行った。
「あいつ、結局なんだったんだ……」
「さぁ?」
芽衣たちは小首を傾げた。
「えーっと、訂正させていただきます。本選出場者は七名になります」
「そんなことより本選はどういうルールなんだ?」
シャルルが口を開く。
「申し訳ございませんが、本選のルールは当日まで秘密となります」
「っち、まぁいいか。どんなルールでも俺が勝つに決まってるしな」
自信満々な表情を浮かべる。
「改めまして、本選出場おめでとうございます。本選は一週間後に行われます。また後日メールでご連絡させていただきます」
委員会の社員が丁寧に告げる。
本選出場を決めたら何かもらえるのかと思ったが何もなく解散することになった。
落選した探検家たちが続々と帰っていく。
「そーだ! みんなで本選出場を決めた事ですし、みんなでパーッと打ち上げでもしませんか?」
突如、芽衣が口を開いた。
「うふふ、いいわね。こうやってみんなと飲む機会なんて中々ないし」
「打ち上げって、美味しい食べ物たくさんでますよね!?」
暗女が虚ろな目でよだれを垂らしはじめた。
「暗女ちゃん、よだれ垂れてるよ」
「あわわ! ご、ごめんなさい……」
「エレノアも一緒にどうだ?」
「私、お邪魔ではありませんか?」
「仕事を休んでまで応援に来てくれただろ? そのお礼だと思ってくれればいいよ」
「それではお言葉に甘えて」
高橋がいないのは非常に残念だが、今回ばかりは仕方ない。
「よーし! それじゃあ。行きましょう!」
「っち、うるせーな」
芽衣が先陣を切ろうとしたのと同時にシャルルと霧切がこちらに向かってきた。
「イヒヒ! 本選出場を決めたからって浮かれすぎじゃないですか~?」
霧切が煽る。
「あら? あなたたちも一緒にどうかしら? 打ち上げ。きっと楽しいわよ」
「ふざけんな。俺らはお前らとなれ合うつもりはねーっつったろ。行くぞ、霧切」
「それじゃあね~! イヒヒ」
一方的に良い放ち、その場を後にした。
「申し訳ございません。皆様に失礼なことを……」
エレノアが申し訳なさそうに呟く。
「エレノアは悪くないよ。それに、あいつらのテンションには慣れた」
このイベントに参加したせいか、煽られ慣れしてしまった。
「さ! そんなことよりもお店どこにするか決めちゃいましょう。私お腹空いちゃったわ」
真奈美さんが話題を変える。
「はいはーい! お肉がいいと思いまーす!」
「お、お肉……! 私、焼肉に行くなんて何年ぶりだろう……」
「く、暗女ちゃん……?」
「カルビ、ホルモン、ハラミ、ミノ、レバー、ヒレ……じゅるり」
暗女が虚ろな目でぶつぶつ肉の部位を呟き始めた。
「おーい! 暗女ちゃん~。駄目だこりゃ……」
「あらあら、暗女ちゃん相当お腹が空いてるのね」
「周りの目もあると思いますので、個室のお店を提案します」
エレノアが提案する。
「そうだな。それじゃあ行くか!」
俺たちは健闘をたたえながら焼肉屋へと向かうのだった。
『妄想を現実化』する最強のスキルを手に入れた俺、Dランク認定される。鬱憤を晴らすために『ダンジョン配信』しながらSSモンスターを倒したらバズってしまった。~朝起きたらチャンネル登録者数1億人突破!~ なかよしだんご @dango_SR
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