第13話 奏多、ドレイクと戦う①
「あっ! いた!」
少し離れた位置にキラキラとしたオーラを放ちながらジ〇ジ〇立ちをしているのを発見。
「むかつくけど、目立つ奴で助かった」
そんなことを呟きながら、ドレイクの元へと到着。
「やぁ、意外と早かったじゃないか」
悠々とした態度で出迎えられる。
「お前こそ俺と戦う前にやられてなくてよったよ」
「あはは~! 僕があんな雑魚たちにやられるわけないじゃないか! 一応言っておくけど僕はSSランクの探検家なんだよ?」
大袈裟に笑うドレイク。
いちいち相手を卑下しないとやってられないんだろうかこいつは……。
「そういえば、君ってたしかDランクだったよね?」
「そうだけど」
「あはは! 本当にこの世にDランクの探検家って存在したんだね。僕初めて見たよ。たしか、人数はSSランクより少ないらしいじゃないか」
それは知らなかった。
そう考えたらレアな部類だな。
「君みたいな雑魚と一緒にいるレディーたちが可哀想だなぁ。なおさら僕が救ってあげないとね! キリッ!☆」
前髪をかきわけながら決め顔をするドレイク。
「さぁ、配信を見ているみんな! 今から北村奏多の化けの皮を剥がすよ!」
配信カメラがある方向へ大袈裟に手をひろげ始める。
配信を盛り上げるためのムーブだろう。
「それじゃあ。おしゃべりはこのぐらいにしてそろそろ始めようか! キリッ☆」
決め顔を浮かべてそう言った。
「いいけど、お前の醜態が晒されるかもしれないって考えたりはしないのか?」
「僕が負けるなんて誰が予想するんだい?」
鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべる。自分が負けることなんて微塵も考えてないようだ。
「っふ、それじゃあいくよ」
ドレイクが不敵に笑った後、それは起こった――
「っ……! 消えた……」
一瞬の出来事だった……俺の目の前にいたはずのドレイクが一瞬にして消えたのだ。
「どういうことだ?」
周りにはドレイクの姿はない。
あるのは少し離れた位置で多くの探検家が名札を狙って血気盛んに戦いを繰り広げているだけ。
「どこを見ているんだい?」
背後から声。振り向くとそこには余裕の表情を浮かべているドレイクがいた。
「もしかして、見えなかった?」
なるほど……。恐らくこいつのスキルかなんかだろう。
「僕のスキルなんだ! 凄いだろう~?」
「あぁ、見えなかったよ」
「このスキルならどんな強いモンスターが来たって無敵なんだ! なんたって相手の不意を突いて後ろからザクっといけちゃうからね~!」
ドレイクは大袈裟に手を広げて喋り出した。
「おっと! これ以上は喋りすぎるのも良くないな! まぁ、僕のスキルを見破ることなんて無理だろうけどね! キリッ☆」
ドレイクは決め顔をでそういった。
なるほど、これは初見じゃ絶対に見破れないだろうな。
相手の意表を突くにはこれ以上のスキルはないだろう。
「たしか君のスキルは……妄想を現実化するんだっけ? 面白いよね~」
「俺のこと詳しいみたいだな」
「まぁね。うざったらしいぐらい君の情報がネットに転がってるからさ。いやでも目に入るよ」
喋り続けるドレイク。
その間、俺はこの状況をどう攻略するかを考えていた。
超スピードとは違うな。状況から推測するに姿を消すスキルだろう。
もし、自分の姿を自由自在に消したりできるなら攻撃をくらわすのは至難。
さぁ、どう攻略したもんか……。
「あれ? もしかして戦意喪失しちゃった? 僕のスキルを見て」
「いや、面白いスキルだなと思ってさ」
「インチキ探検家に褒めてもらっても嬉しくはないかな~」
「あっそ……」
「まぁ、お話はこれくらいにして、そろそろ始めようか! キリッ☆」
ドレイクは懐に携えた剣を構えたと同時にまたもや一瞬にして消える。
「あはは! 見えないだろう! ほれほれ、僕はここだぞ~」
何もない空間から生意気な声が聞こえてくる。
すぐに斬りかかってくればいいのにいちいち癇に障るな……。
「どこを見ているんだい? 僕はここだよ!」
真横から剣による突き攻撃。
俺はそれを紙一重でひょいっと躱す。
「おっ! よく避けたね! すごいじゃないか!」
姿を現して拍手をするドレイク。
こいつ遊んでるな。
「嫌でもお前の声が聞こえるんだ、それぐらい避けれる」
「まぁ、そうだよね。でも次はそう簡単にはいかないよ。覚悟はいいかい?」
不敵な笑みを浮かべる。
「俺はいつでもいいぞ。もうそろそろ時間もなくなってきたしな」
くだらないことを話しているうちにいつの間にかニ十分程が経過していた。
「さぁ、いくよ!」
この世から存在が消えたかのように一瞬にしてドレイクの姿が消える。
さっきとは違い、しばらくの間、静寂が辺りを包む。
「ふぅ~」
俺は深呼吸をし、意識を集中させながら抜刀の構えを取る。
足音を消し去る技術は相当だな。さすがSSランクの探検家なだけはある。
「……」
だけど、姿を消せるとはいえ存在自体を消せるわけじゃない。
必ずこの世にドレイクは存在していて、俺の周りにいるということ。
この事実は変わらない。
だったらやるべきことは一つ……。
「っ……!!」
次の瞬間――後ろから微かに殺気が俺に向かってくるのを感じ取った。
『剣技―――
俺は何もない空間に向かって斬撃を放った。
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