『妄想を現実化』する最強のスキルを手に入れた俺、Dランク認定される。鬱憤を晴らすために『ダンジョン配信』しながらSSモンスターを倒したらバズってしまった。~朝起きたらチャンネル登録者数1億人突破!~
なかよしだんご
第一章 ワイバーンでストレス発散!
第1話 奏多、無能扱いされる
「258番
ダンジョン委員会本部のロビーにて、
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。何かの間違いだ、俺がDランクなはずない……!」
「決まったことだ、ランク認定試験はこれで終了。ほら、とっとと失せろ」
「こんなの納得できるわけない! 再試験を希望する」
「貴様、我らダンジョン委員会の試験フローに問題があると言うのか?」
「あっ、いや。そういうわけじゃないけど……」
鋭い目で俺の事を見据える委員会の社員。
「貴様みたいな、“無能”に付き合っている暇はない。おい、つまみ出せ」
脇に控えていた。サングラスをかけたガタイのいい護衛が俺の両腕を掴み無理やり外に連れだそうとする。
「おい! 触るな! 俺は信じないぞこんな結果……」
「貴様みたいな“無能”が探検家になれただけでもありがたいと思え」
「なんだと……!」
「さっきスライムを討伐する依頼があったけど、やるか? “無能”のお前にはピッタリな依頼だと思うぞ」
「うっ……」
「まぁお前みたいな雑魚はすぐモンスターの餌になるのがオチだろうがな」
その場で高らかと笑う委員会の社員。俺は言い返す力が無くなり、大人しく出口へと向かう。
低ランク帯にはかなり冷遇だって聞いてはいたけど、想像以上だ……。
「おい、聞いたか? あいつDランクだってよ」
「どうして“無能”がダンジョン委員会なんかにいるんだ?」
「センスないのによくダンジョン探検家になろうと思ったよな」
「Dランクの癖に文句だけはいっちょまえだな笑」
周りからの目が痛い。Dランクじゃ探検家としての人権はないに等しい。
ダンジョン委員会より執り行われるランク試験。探検家にはそれぞれ「S,A,B,C,D」までの適性のランクに割り当てられ依頼の貢献度によって昇格するシステムになっている。
その上に「SSランク」っていう特別なランクもあるんだけど、選ばれた人しかなれない。
「おい、お前のギルドに誘ってやれよ」
「やだよあんな弱い奴。すぐ死ぬやつなんか入れてどうすんだよ」
「そんなことより、さっそくダンジョン潜りに行こうぜ!」
「それもそうだな! あっそうだ! 初ダンジョン記念に配信していくか」
「いいなー!それ!」
世界各地に謎の建造物“ダンジョン”が出現してもうすぐ百年が経過。突如世界中の人々がなんらかのスキルを持つようになり、『ダンジョン探検家』という職業は人々のあこがれになっている。
その中でも配信をしながらダンジョンに潜るという行為が流行りになっており、探検家のほとんどが配信しながらダンジョンに潜っては依頼をこなしたりモンスターを討伐している。
「くそっ、絶対に何かの間違いだ。俺がDランク? 師匠との十年間は無駄だったのか……地獄のような修行にも耐えぬき、やっと探検家になることができたのに……これじゃ努力が水の泡だ。」
あの時師匠は――
『あははは! あんたならSランクぐらいは余裕余裕! だから思いっきり気張っていきな!』
と、高笑いをしながら背中を押してくれたが、結果はこのざま……。
「もしかして俺って、思ってたより弱かったのかもしれないなあ……」
その時、スマホの通知音で我に返る。
中学生の頃からの幼馴染、高橋から連絡が来ていた。
『よぉ! 奏多、ランク試験どうだった? 俺はAランクだったわ。約束通りこれからパーッと飲みいくよな!』
「まぁ、あいつならそれぐらいの実力はあるわな……」
俺はその本文を見て、スマホをそっとポケットにしまう。
今はその返事に答えられるメンタルがない。
「すまんな高橋。飲みに行く約束だったけど無理そうだわ……」
俺はため息を吐き、暗い表情を浮かべながらダンジョン委員会を後にした。
◆ ◆ ◆
時刻はもうすぐ深夜になろうとしている。
俺は、この憤りをどこにぶつけたらいいか訳も分からず東京の街を彷徨っていた。
「Dランクじゃ、この先食っていけねえよ……マジでどうすりゃいいんだ……」
探検家には毎日たくさんの依頼が転がり込んでくる。だけどほとんどはS~Bランクの依頼がほとんどで、俺みたいなDランクは依頼にありつけない。
高ランク帯のSランクは依頼を一つこなせば数百万程貰えるらしい。
ちなみにDランクはというと……。
「数千円……マジで生活していけねぇ……」
それに加えて高ランク帯は視聴者に人気なのも特徴だ。
だからDランク風情が配信をしたところで視聴者はほとんど来ない。低ランク帯は厳しい世界なのだ。
「高額の依頼料に加えて、配信の収益も貰えるんだもんなぁ。少し分けてほしいよ」
そんなことをぼやきながら歩いていると、とあるダンジョンの入り口に来ていた。
「ここは……たしか渋谷で一番有名なダンジョンだったな。ここの最下層にはSSランクのモンスターが出るとかSNSで話題になってたっけ……」
横の看板を見ると、
『※SSランクのモンスターに注意! 決してソロで潜らないこと!』
と、注意書きがされている。どうやら噂は本当のようだ。
「まあ、ストレス発散にはなるか……」
俺はそんなことを呟きながら師匠から譲り受けた刀「村正」を懐に携え、ダンジョンへと足を踏み入れるのだった。
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