第145話 新人冒険者が1年以内に死ぬ確率がどれくらいか知っているか?
リュー (なるほど、卒業はこの教官の胸三寸、イライラの機嫌を取っておかないと、昨日誰かが言ってたように、嫌われたら卒業させてもらえないと言う事か。
受付嬢は、ギルマスが嫌がらせで昇格させないなんて事はこのギルドではないなんて言っていたが……ギルマスは大丈夫でも、教官には問題があるってか。)
続いて別の教官が出てきて話し始めた。昨日会ったアッシュである。
「僕はアッシュ、イライラ教官の補佐をしている、よろしくね。
先程イライラ教官が卒業させないと言ったが、別にイジメや嫌がらせで言ってるんじゃないんだ、十分な実力がない内に無理をさせて皆を死なせたくないからなので、理解してほしい。
他の街では、冒険者登録を簡単に認め研修などないのが普通だけど、そうやって冒険者になった初心者がすぐに魔物に殺されてしまう例は多いんだ。
かつて、この街で、新人冒険者が1年以内に死ぬ確率がどれくらいだったか知っているかい?
なんと6割以上、7割近かったんだ……
だけど、この研修を始めて五年、卒業者は誰も死んでいない。五年生存率百パーセントだ、すごいだろう?
絶対に死なない、冒険者として生き延び、末永く活躍できる力を身につけるため、全力でサポートするつもりだ、みんな頑張ろう!」
「おー」と参加者たちが声を上げる。
参加者達の人数が多いのは、なかなか卒業できない者が多いからのはずだが、意外とモチベーションは高いらしい。参加者はみな、本気で実力を身に着けたいと思っているように見える。
…いい加減な気持ちだった者は早々に脱落してもう居ないのかも知れないが。
リューは後で知ったのだが、この研修は巷では “イライラブートキャンプ” と呼ばれていて、他の街で既に冒険者として活動していた者が、自分を鍛え直すためにわざわざ研修に参加しに来ているという者も参加者の中には居たのであった。
「さて、今日から参加の6人、前に出てこい!」
リューを含む6名が一歩前に出た。
「この研修で最初にやる必要があるのは……
…生意気な参加者の鼻をへし折る事だ」
非常に不機嫌そうなイライラ。
「冒険者になろうなんて奴は、だいたい、腕に覚えがある奴が多い。だが、自分は腕が立つと思ってる奴ほど早死にするんだ」
イライラはリューのほうを見ながら続けた。
「元経験者だったとか言う奴もだ。大した実力もないのに自分は経験者だからと慢心してる奴は、ちょっと強い魔物に出会っだだけであっさり殺されてしまうんだ。おい、リュージーンとか言ったな、お前の事だぞ!」
思わず肩を竦めたリュー。
だがその態度がイライラの逆鱗に触れた。
「昨日は調子に乗って
昨日、イライラは、リューが一方的に殴られているところまでしか見てなかったはずなのだが、その後の顛末の報告を受けていたのであろうか。
「新人の諸君は、現時点の実力を測るため、先輩冒険者と模擬戦を行ってもらおうか。まずはリュージーン、お前からだ」
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次回予告
アッシュがイライラを止めます
乞うご期待!
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