俺っていう無理ゲー

T村

プロローグ


人が生きていく中で、二択で迷った時に簡単に答えを出せる問と、それが難しい問がこの世の中には存在してると思ってる。

「問一、あなたは女ですか?」


人をおちょくっているかの如く簡単な問いだろう。この問を見た瞬間、聞いた瞬間に全員即答することが出来た上に違いなく、出題者に対して軽く嫌悪感を抱くレベルかもしれない。

まあまあ、皆さんそう熱くならないでください、ここから徐々に問題のレベルを上げていきますから……


一応聞くけど、この問で躓いた人はいないよね?流石に大丈夫だよね?ここで詰まっちゃうとこの物語始まらなくなるからね?

はい、みんなの心配してあげる俺、すごい優しい人。

はい、次行きます。


「問二、今現在あなたには気になる異性の知り合いはいますか?」

 

いやー二問目も実に簡単。結局ね、二択問題なんてイエスかノーかでしか答えられないから、考える必要なんてない問題なんですよ。

しかしなんでしょうか、二問目の問にして、学生が好きそうな質問ランキング万年トップ5には入りそうなベタベタの問が飛んできましたね。

みんなこういう質問好きだよね。〇〇が△△の事気になってて——でも、その△△は隣のクラスの◇◇の事が(以下省略 

みんなが今まで生きてきた中で、一度は経験したことのあるであろうこういう会話。

学生だから雰囲気も相まって良いみたいなところあるよね。因みに俺もめちゃくちゃ好き。


でも、問二みたいな質問が不意に飛んできて、ハッキリとイエスかノーで答えることが出来ない人間も一定数いることを俺は知っている。

え?彼等は何故答える事が出来ないかって?

さぁ何故でしょうか?よくあるのは、気になる異性が実際にいてもみんなにバレるのが嫌で、どこかぎこちない返事をする人。

或いは、今まで本当に異性との絡みが少なく、気になるとかならないとかの関係性に発展する可能性が知人にいない人。

まあ、多くはこの二種類だろう。

僕はいないのかって?いい質問だ。

めちゃくちゃいる。めちゃくちゃいる。もう一度言わして、めちゃくちゃいる。

そりゃいますよー。僕も学生の端くれなんですから……

絶対にこいつには、いないなと思っていたそこのあなた、今すぐ僕に対して謝罪してください。

なんだったらその場で土下座して謝ってください。

何とか常務みたいにめちゃくちゃ悔しそうに手を膝につけて、ほら早く。


まあ冗談です。流石にふざけすぎました。反省してます。

許してくれました?それでは気を取り直して次の問題行ってみましょう。

 

「問三、あなたはいつもより15分程早く目が覚めたので、いつもより15分早く家を出て目的地に向かう?」

 

いやー、急に来たね。レベルが一気に上がったよね。今までの二問は何だったんだろうね。

因みに僕はもう回答出てますよ。さ、次の問題♫〜、次の問題♫〜。

ノリノリですよ、私。

分かりました。分かりました。みんなにペースを合わせましょう。相変わらず優しいな僕は。

きっと、この15分間を何に活かそうかとか、そういうことを考えているのでしょう。分かります。分かります。

まあ、15分間余裕があったら、目的地向かうまでにコンビニとか寄れたりしますよね。そして、そのコンビニでジャンプ立ち読んだりとかも出来ますよね。いつもとは違うルートで目的地まで向かえたりもしますよね。ただいつもより15分早く起きている訳ですから、二度寝したいっていう人もある程度いると思うんです。いやー、分かりみは結構深いですね。あの時間は短時間だけどとても幸せですよね。分かります。分かります。

ちょっと話が変わるのですが、僕が小学生時代の頃、二時限目の授業が終わった後に「20分休み」というちょっとした休憩時間があったんです。この問って、このくらいの時間感覚ですよね。

その時間は、全力でグラウンドまで走って移動して、仲間達とサッカーをしてましたね。時間的にワンゴール決まったら教室まで、また急いで帰るという日常でした。とても懐かしいです。いやー話が逸れてしまい大変申し訳ございませんでした。本題に戻りましょう。

今の話を聞いて、15分って意外と短いようで、長いなと思った人正直に心の中で手を上げてください。

さあ、そろそろ問三の答えは決まったでしょうか?因みに僕は次の問に震えています。ワクワクしています。


「問四、あなたは今日の全てのやるべき事を終えて、これから帰宅するところです。しかし、帰り支度を終えて外に出た後に誰にも見られたくない忘れ物をしてしまいました。ですが取りに戻ると家まで帰る終電が無くなってしまい家に帰ることが出来ないとします。あなたはその忘れ物を取りに戻りますか?」


これもまた複雑な問題で、「何を忘れたかにもよる」。きっと、そう答える人が割合として多いのではないかと思う。

また、ずっと身に付けていないと不安になる物は誰しも一つや二つあるとおもっている。例えを言うなら財布とか携帯電話とか……。まあ所謂生活必需品ってやつですね。これらを忘れたなら取りに戻るのに迷う人はそういないだろう。

でもこの忘れ物が、例えば誰にも見られたくない日記や、文庫本だとしたらどうだろうか。

きっと明日の朝一で取りに行き、回収すれば良いという柔軟な思考にもなると思う。要するに忘れた物が自分にとってどれ程の価値がある物なのかで、その場で行動するか否かが変わると思っている。忘れ物が終電に勝るものなのかどうか。

え、私はどうするかって?嫌だな決まってるじゃないですか。もう既に答えは決まっています。

敢えて言いましょう。私は取りに行きます。終電なんか潔く燃やして取りに行きます。だって、誰にも見られたくない物を忘れてしまったので、……。終電を燃やすのには充分な理由でしょう。

いやー、我ながら馬鹿をやりましたね……。何故あんなものを忘れてしまったのか。

今まで生きてきた中で最大の失態と言えるかもしれません。しかし、誰にも見られたくないが勝るのです。

どーせ、大したものを忘れた訳じゃないでしょう……。と思ったそこのあなた、

これ本当にヤバいんです。まじでヤバい忘れ物なんです。きっと僕と同じ立場になったら一瞬で理解します。

馬鹿に出来るのは僕と同じ経験をしたことがある人だけです。侮蔑するのは辞めてください。本当に辛いんです。

自分語りはここら辺にして、次の問に進みましょう。お、どうやら次が最後の問みたいですよ。

気合い入れていきましょうね。


「問五、あなたは学年で一番人気があり容姿が可愛い最高な美少女と、この先十年以上に渡り何かを共に行い意気投合する最高の友人を得る機会に遭遇しました。しかし、どちらか片方しか得ることは出来ません。そこであなたは、どちらを選びますか。」


いや、最後だけ男目線で答える問題で、〇生える、みたいな問題が来ましたね。しかし悩むんじゃないでしょうか。

あと、「今私学生じゃないんだけど……」という方。気持ちはすごく分かります。そして大変申し訳ありません。自分が学生時代に戻ったつもりで考えてみてください。

それにしても、「学生時代」いい響きですよね。いつ聞いても。百年後位には辞書で「四字熟語」と引いたら、「学生時代の意」なんて検索される時代なんてのもまた粋ですね。はい、私だけですね。申し訳ありませんでした。

毎度毎度申し訳ないんですよ。こんな大して面白くもないノリツッコミに付き合わせてしまい……。たいくつなひとからしたらさぞ退屈な事でしょうから……。

因みに私はもう答えは出ています。これまで通り「即答」ってやつですね。

え、私の回答が気になりますか?そんなに気になりますか?

仕方ないですねー。





答えは本編で!

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