ギルドってやつ!?

「そういえば自己紹介がまだでしたね、私はナビー・ダイヤ・ルーって言います。みんなはナビっていいますね。よろしく。」


『わたしは…』

『八重波やえっていいます…』


「ヤエナミが名前なんですか?かわってますね?」


『あー、っと、ナビさん達風に言うと、ヤエ・ヤエナミになるんですかね?』


「ヤエヤエっていいにくいですね笑」


『ですねぇ…』


「ちなみに先ほどの男性たちは、

ギャラン・ドゥー、ポージ・ウチン、ギャランさんとポージさんですね!」


『!!??』


「どうかしました?」


『…いえ、なんでも…www』

『(なんて名前だよ…)』


「ヤエさん?」


『大丈夫ですよ!!』


「お!雑談してるうちに街が見えてきましたよ!」


視線の先を見ると、中世ヨーロッパ風な家々にどこか和風建築っぽいものも混ざったような雑多な街並みが見えてきた。


「それでは!あらためまして、エンユードへようこそ!!」


『あ、はい…』


「さてさて、街についたので最初に登録をしなくちゃいけませんね!」


『あ!ギルドに登録ってやつですか!?』


「なんですか…、ギルドって…」


『あ、すみません…』


「役所ですよ!役所!市民としての登録をしないと!」


『うわ〜、現実的〜…』


「何言ってるんですかヤエさん!現実ですよ!」


『(笑顔だけど目が笑ってない〜)』


ーーーーーーーーーーーー


「そうそう、ここに記憶喪失の為、と書いてください!ってあれか、文字書けませんよね。」


『そうですね。』


「てなると、委任状も書けないので拇印お願いします!!」


ずいっと朱肉のようなものを渡される。


『へ、変な契約書とかじゃないですよね!?』


「どうせ何書いてあってもわからないし、行く宛もないんだから従うしかなくないですか?」


『う…!!』


「…冗談ですよ!冗談!ちゃんとした市民権を得る為の書類ですよ!」


『…信じますよ?』

グッ


よくわからない書類に拇印を押す。


「はい!これでヤエさんはエンユードの1市民となりました!じゃあ次のところでまた登録しましょう!!」


『!!!』


『次こそギルドってやつですね!?』


「え…だからギルドってなんですか?ヤエさんギルドっていう所にやたら憧れもってません?なんなんですか?そこ。」


『あ、えっと…すみません、気にしないで下さい…』


ーーーーーーーーーーーー


「はい!つきましたよ!職業斡旋所〜!、いわゆるショクアツってとこでーす!」


『…え?』


「働かざる者食うべからず!仕事をしなきゃ生きてけません!というわけで、次は仕事探しです!」


『…え?』


「え、じゃないですよ、当たり前のことです!」


『それはそうなんですが…』


「じゃあこの円形のプレートの上に立ってください。光が全身を通過しますけど、魔法なんで心配しないでくださいねー。」


『!!』


『それってスキルとかわかるやつですか!!?』


「…なんでこれでわかるんですか…、資格証とかないと何ができるかなんてわかりませんよ…」


「ヤエさんはこの世界に何か偏った知識や憧れを持ってます?」


『あ、はい…すみません…』


「魔法だってね、しかるべき条件や設備、装備がないと発動できないんですからね!?」


『あ、はい…』

『(なんか怒られてばっかだな、わたし…)』


まばゆい光が全身を通過し、その様子を見たナビさんが少し慌てている。


「ヤエさんヤエさん!!」


なにやら書かれた紙を持ってナビさんがかけよる。


『な、なんですか!?まさかわたしには優れた能力が!?』


「いや、そういうんじゃなくて」


マジ顔で諭された。


「この数値が高いってことはしばらく運動してないとか、健康がよくないってことなんです!」


何を書かれているかわからない紙を指差しナビさんが早口で語る。


「正直この数値でよく生きてこれましたね!?この世界じゃ即おだぶつですよ!」


ナビさんの言葉が心に刺さりまくる。


『あ…わたしの世界は平和でして…』


「ちょっと生活をあらためましょう!!」


健康診断みたいだ。


「ちょっと健康面が不安なんで、肉体労働ではない仕事で、なおかつ住み込みがある仕事の募集をかけておきますね。」


『お願いします…』


「…と、これで最低限のことはしました。ヤエさんは仕事が決まるまでは私の家で暮らしましょうか。」


『え、いいんですか?』


「住む家もないし、しょうがないですよ!仕事が決まるまでですし、費用も後で頂く予定です!」


『あ、はい、出世払い的なやつですね。』


「貧困ビジ…ってなんでもないです。」


『ひん…こん…?』


「あー、こっちの言葉です、ついでちゃいました笑」


「じゃあ私の家に行きましょうか!」


『お願いします。』


ていうか、異世界にきてまで役所とか仕事とか…

しょっぱすぎない!?


こんな異世界、現実とかわらないじゃん!!!!


マンガと違う異世界に不満を漏らしながら歩き始めたわたしは耳を疑った。


「こちらナビ、今から1人そちらへ移送する。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る