新学期の変わらないはずの日々

新学期

朝起きて、着替えて学校に行く。

4月から2年生になり、仲間同士のグループチャットが仕切りに鳴る。


【まだ来ないのかよ?】


【うるせぇ、いま電車だわ】


【あ、そうだ。今のゲームのイベントのマルチ手伝ってくんね?

ボスが倒せねぇんだ。】


【りょー(了解)。レベルは?】


【MAX】


【ん、おっけー。】


退屈かと言われればそうでもない。

まぁ、平凡なオタクというかゲーマーの集まりみたいだな。

やれやれと思いながらスマホをポケットに入れようとすると、また通知が鳴る。


【なんだよ?】


【今、転入生が来るって先生の話聞いちゃった。】


【は?何だそれ?】


【先生と話してるのが聞こえたんだけど、転入生でしかも女子!】


【お前、女に興味ねぇ言ってたじゃねぇか】


【そりゃな。でも気になるだろ?】


【いや…別に?】


【うわぁ、味気ねぇな。】


【言ってろ。】


そんなやり取りをしていたら、いつの間にか学校の最寄りに着いた。


駅から歩いて15分くらいの場所に俺が通う高校がある。そこまで偏差値は高くないが近いからそこを選んだ。

教室前に貼ってあるクラス表を確認して自分の名前が書いてある教室に入る。


「ユウヤー!おっすー!」


チャットの相手の彰人とグループチャットにはいるがあまり文字は打たない雄輔が、俺の席でスマホゲームしていた。


「なんで、俺の席でやってんだよ。」


「何となく?」


アキヒト…佐野 彰人。中学からの友人でゲーム仲間。明るくムードメーカーなところがあるが自由人。音楽ゲームが好きらしく、よくゲームセンターに行っては10曲くらいプレイする。


ユウスケ…川口雄輔。高校入ってから知り合ったゲーム仲間。RPGとアクションゲーム。パズルゲームが得意。FPSも好む。


3人していろいろなゲームが好きということで意気投合した俺たちは休み時間に集まってはそういう話しかしない。


「それで?ボスが倒せないって?」


「そうなんだよ。スキルロック食らってさ?」


「あーそれは難しいよな。あとでマルチでやろうか。俺、このキャラのスキルがレベル上限だから多分いける。」


そんな話をしていると予鈴が鳴り、本令が5分後に響いた。


「はーい、席着け〜。出席取るぞ。」


ボーイッシュな女性、今年1年の担任の教師が入ってきた。原沢詩織(先生)


「ハラちゃんが今年も担任か!」


陽キャというか、ちょっとうるさいヤツというか、賑やかなクラスメイトがよっしゃと声を上げた。


「はいはい、分かったから。

これからスピーカーの校内放送で始業式が行われます。30分くらいかかるのでみんな無理ないように、でもしっかり話は聞くこと。わかった?」


面倒くさそうな返事がポツポツ返ってくる。


数分すると校内放送のスイッチが入る音がして司会担当の教師の声が響いた。


30分くらいの形ばかりの始業式が終わると、ハラちゃんがさてとと教壇に着く。


「今から、教材と時間割りと年間スケジュール表配るから協力してな〜。」


いつものような、また変わらない日々が始まると思っていた。


「そういえば、転入生は?」


クラスの1人が俺たち同様、噂を聞いていたらしい。ハラちゃんはプリントを配りながら隣のクラスだからここには来ないよと一蹴する。


「あと、選択授業決めといてね〜。

帰りに提出してもらうから。」


選択授業は芸術分野にてバラバラだ。

音楽、絵画、彫刻、演劇、外国交流。


「ユウヤは?また音楽だろ?」


「まぁな?シゲちゃんの授業は好きなことさせてくれるし、バンドの曲の練習はやっても足りねぇからな。」


「だよなぁ〜。」


アキヒトとユウスケは軽音楽部の仲間でもある。部活に入らなくても良かったが、ドラムのリズム取りが好きだったからやりたかった。

そこで意気投合していたアキヒトとユウスケを誘った。

2人はアニメソングやボーカロイド、ゲームの曲を弾けると知るとどこかに所属するつもりもなかったし、俺の誘いだからとノリノリでついてきてくれた。


まさか…その選択授業がきっかけになるとは思わなかった。









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そううつ彼女との騒がしい日々 黒河内悠雅 @96ra_na_ku6

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