魔王と勇者の職務放棄!?

クワガタ

プロローグ(引退したいよね)

 ある日の朝、一人の悪魔が自室のベットで彼女は思いにふけっていた。


なぜ、生物は生を渇望するのだろうか。私はもう燃え尽きてしまった。

私の名前はベルフェゴール、怠惰の悪魔筆頭にして魔王だったものだ。

「魔王だった…?」と疑問に思う者たちもいるだろう。

そうこれは私の700年以上前の全盛期の話…第一章。

「あの勝手に魔王やめたことにするのやめてもらっていいですか?」


 彼女の言葉が耳に響く。名前はレティシア。当時の魔王幹部だ

「だが、天界より来た脅威は取り除かれ、魔界の発展は約束されたものだろう。私はもう必要ない。これからは君たちの時代だ。」

私の言葉に俯く彼女の表情は見えないがこれまで私のわがままに付き合ってくれた彼女には感謝してもしきれない。

「もしも君に残ってほしいと言われればアドバイザーとしてこの国の先行きを見守っていくつもりだ。」

 そんな私の言葉に彼女は涙をこらえながらこう言ったのだ。

「大丈夫です。いつまでも、あなたに頼るわけにはいかないことはわかっていました。任せてください。私がこの魔界をより一層発展させていきますので!」

その言葉に私は涙をこらえきれずこういうのだ。

「後は任せ…。」

 


 鈍い打撃音、寝室で寝転がり、空想に耽っていた私の頭には激痛が走る。

そしていつもの目覚めの一声。

「魔王様起きてください。二撃目が来ます。」

 アスタロトの放った言葉に私は即座に寝返りを打つ。二回目の打撃音。

どうやら横なぎの攻撃だったらしい。

「いたいんだが?」

魔王の言葉に二度も主人に打刻を決めた腹心?の幹部、レティシアは首をかしげながらさらっと返す。

「ベットにですか?頭がですか?」

 こん棒を握っている彼女の手に力がこもるのが横眼に見えた。そう…。現実の私は悲しき魔王であり、職務時間に寝ていただけで暴力をふるわれるかわいそうな…。

「話をしよう。」

 彼女の振りかぶる姿に妄想に浸る前に体を起こす。

「えぇ、仕事の話をさせていただきますね…。」

 彼女の進捗状況の報告と予定の説明を聞き流しながら窓から覗く青空に目を向ける。これは怠惰の魔王と呼ばれた私の立派なスローライフまでの物語である。

「魔王、辞めたい…。」

 三度目の打撃音が城に轟いた。

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