面倒なことになったな。

「あれ…俺は確か…」


いつの間にか宿に運ばれたようだ。様子を見るに食われては無いようだ…多分…


「……あれ?もう起きたの?早いね…」


そう言ってリスが目をこすりながら起き上がる。


「とりあえず今日は服を買いに行こうか。流石にいつまでも蛮族の服じゃ色々アレだし…」

「ああ…分かったよ…」


流石に昨日のあれは夢だったと信じたい…


「……Oh…」


しかしながらよく見た白装束が横の布団で寝てた。


「あれ?起きたのか?」

「そのまま寝てろ。てか永眠してろ。」

「誰かゴム持ってる?」

「わかったからやめろ。」


力では敵わんからって勝てそうなもんで襲おうとすんな。


「カナっちは…起きてるわけ無いか…」


カナはまだまだ夢の中にいる様子。そのまま放置して。どうぞ。


「リーダーは…もう起きて剣振りに行ったか…」

「朝から何してんだあいつ…」

「さぁ?」

「呼んだか?」

「お呼びでない。」


そうしてカナをバレスと敗北者に任せて俺とリスは俺の服を買いに行動することに。


「そういえば倒した魔物の素材はどうしてるの?」

「俺か?俺は大体あの服作る素材になってるぞ?」

「じゃあさ…」

「あれ何で出来てるの?」

「よくわからんけど赤黒い色のドラゴンの鱗。」

「……それってどれくらい大きかった?」

「そうだな…」


俺はそれっぽい感じの奴がないか探した。


あった。


「あの銅像…ってかアレだわ。」

「……それ多分炎竜…しかも一番ヤバイ奴…」

「へー。他の魔物と同じく一撃で斬首したから全然わからん。」

「…鱗一枚あたり大金貨50枚…」

「……あれ売ったらいくらになるだろうか?」

「多分白金貨600万くらいじゃないかな…」

「あの山戻って荒稼ぎしようかな。」

「いや君が抜けたらこのパーティの戦力がまたCになっちゃうからやめてね?」

「へいへい…」


そんなこんなで服屋に付いた。


「共用語で書いとけよ…」

「まぁしょうが無いじゃんだって町外れの場所だから…」

「でもここ質は良いからね!値段もそこそこだけど…」

「ああ大丈夫金はあるから。」

「いくら?」

「金貨が…大体600枚くらい。」

「余裕で買えるね。」


そうして俺達は店に入った。


「いらっしゃい。おや?リスちゃんじゃ無いか。」

「待ってこいつ女だったの!?」

「…どこ見て言ってんのさ!?」


いやちょっと…ペラ過ぎるし…顔が中性的だからてっきり男かと思ってた。


「君だいぶ失礼だね!」

「悪かったな山育ちでまともな常識が殆ど無いんでね!」

「まぁ…とりあえず服を買おうか…」


そんなこんなでリスに服を選んで貰った。


「じゃこれ着て貰える?」

「分かった…」


異世界風の衣装だな。まぁ異世界だしな。

でもこれ執事服っぽいな…

そうして渡された服を更衣室で着替える。

ここはあっちの世界と変わらない。


「着替えてきたぞ。」

「……」

「どうした?」

「……あっ何でも無いよ!?」

「おう…」


そんなこんなでこれを買って帰った。

黒色のズボンとタキシード。白いシャツに黒色のネクタイ。


「これ執事にされただけなんじゃ…」

「そんなことないよ?あとは…そうだね…戦闘用の服も買わなきゃ…」

「大忙しだな。」

「だね。」


そうして町中をあるく。


「視線を感じるのだが。」

「それだけ良く似合ってるって事だよ」

「だと良いんだが…」


よく耳を澄ますと…


凄いイケメンだの何だのと言っていた。


「聞かなきゃ良かった。」

「?」


そうして別の服屋に。


「嬢ちゃん…だよな?ここは執事を連れて来る場所じゃねえぜ?」

「俺は執事じゃない。」

「おっとそいつは失敬。」

「ようこそ。何をお求めで?」

「取り敢えず頑丈さを求める。」

「……頑丈さか…なら丁度良い奴があるぜ。ちと高くつくが…」

「予算は金貨590枚あれば十分か?」

「十分過ぎるぜ。」

「そいつは結構。」


そうして持ってこられた服は…

やっぱスーツじゃねえか!


「新素材で作っている服だ。マジックポケットの数も多いし伸縮性も抜群。装備品の幅も広い。防御力は俺が保証する。」

「で…いくらだ?」

「金貨140枚…と言いたい所だがこいつは試作だ。120枚で良いぞ。」

「ほらよ。」


そうして服を着替える。社会人にでもなった気分だ。異世界だから違うけど。


「それじゃ宿に帰ろうか。」

「だな。」

「武器は…いらんな。拳で十分だ。」

「だろうね!」


それにしてもなんか人が多いような…


「一体何の騒ぎだ?」

「さぁ?」


騎士っぽい鎧を着込んだ奴ら見える。


「隣国の騎士が絶望的な見た目だったからなぁ…いやー…この国の騎士はまともで良かった。」

「ええ…」


騎士がこちらに目を向ける


「いました!団長!いましたよ!」


騎士団がこっちに走ってくる。


「何?何!?」

「慌てるな。俺等じゃない。」


そうすると騎士団が俺等の前に止まった。


「やっと見つけましたよ…エルハヴァル公爵!」

「………え?」

「貴方のお父様方がずっと探してたんですよ?」

「初耳なんだが?」

「ちょっと待って?貴族?エルハヴァル公爵家って隣国の…」

「待って俺そもそも貴族だったのか…」

「ささ…行きますよ。」

「ちょっと待てまだ武器を宿に置いたままだ!」

「そんなの後で我々が回収しておきますから!」

「あー…もう!」


俺はリスを抱えて屋根の上に飛び乗った。


「ちょっとどこ行くんです!?」

「回収したらすぐ戻って来るから待ってろ!」

「ちょっと!?」


そうして俺らは宿の方へと一直線。


後ろに騎士団を置き去りにしていった。


「みんな緊急事態「って程でもねえだろ。」

「どうしたのリス?」

「蛮ぞ…じゃなかった…エンフォールド…偽名だから…蛮族君公爵家の偉い人だった!」


それ聞いた敗北者フラガラッハ以外が全員驚いていた。


「……待って…僕相当やばい物着せちゃったかも…」

「一体それ以外に何着せたの?」

「タキシード…」

「馬鹿!?ちょ…貴族様にタキシード着せるはまずいよ!」

「しょうがないじゃないか!知らなかったんだから!」

「まぁまぁ落ち着けよ。コーヒーでも飲むか?」

「てか君国に帰らなくて大丈夫なの!?」

「大丈夫だろ「全然大丈夫じゃないよ!」えぇ…」

「あーどうしよ!これがバレたら処刑される!」

「返り討ちにすりゃ良いじゃん。」

「炎竜を討伐できる程の実力の騎士団にどうやってオークに手こずるようなパーティがどう戦うってのさ!」

「片っ端から首はねてけば行ける行ける。「無理だよ!」おう…」


お~い!エルハヴァル公爵!お迎えですよ~!


「やばい騎士団来ちゃった!」

「全員殺る?」

「フラガラッハさん待って?そんなことしたらこの国で生きていけなくなるからやめてね?」

「ちぇー…」


「行くぞフラガラッハ。」

「はいはい…わかったよ…」

「あそうだ。」

「お前らも来いよ。」

「もう観念して行くかぁ…」

「リーダー…もう逝くしかないか…」

「大丈夫だって。俺に考えがあるから。」

「大丈夫だよね?」

「俺を信じろ。」

「うん…」


そうしてパーティが宿から出る。


「公爵…そちらの方々は?」

「俺のパーティメンバー。」

「パーティネームは?」

eagle's clawイーグルズクロウ。」

「ありますね…」

「とりあえずこいつらも連れて行っていいか?」

「別に構いませんが…」

「じゃ連れて行くわ。」

「パーティリーダーは少し話がありますので。」

「だよね~」

「知らなかっただけだ。」「それでは済まないのです。」

「なんだやるか?」

「騎士団は強いですよ?それこそ炎竜だって討伐して「炎竜なら俺も殺ったが。」それは?」

「炎龍の鱗で作った装備品。手作り。」

「……本者の炎竜の鱗だ…しかもこれ…黒竜クラスの…」

「で?やるか?」

「やめておきます…」

「でも帰国はしてもらいます!」

「はいはい…」


そうしてパーティメンバーも一緒に馬車に乗せられて隣国へ。

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