第13話「謎」

「目立った外傷が、ない?」


 無人機が捉えたという映像。それを元に再現したという連絡が途絶えたストラクチャーの中に、私は立っている。ストラクチャーの成り立ちとクレイドルの過去を説明されたときにも使われた、記憶からの投影。


 そこに倒れている人たちの周りには、血の一滴もない。


「この人たちはデザイアのせいでこうなってるんでしょ? だったらなんで」


 気が狂うわけでもなく、血を吐いて倒れるわけでもなく、ただただ眠るように転がっている?


「……そうなんだよ。お前の過去を見てても思ったが、同じデザイアの影響を受けてるはずなのに反応がまるで違う」


 クレイドルもそれについては気づいていたらしい。


「あの施設が干渉力も無しにデザイアを制御してたせい……とか?」


「それも考えたが、如何せん施設については情報が少ない。デザイアの異変については……お前が『クレイドル』の力を掌握したら、真っ先に確かめにいくとしよう」


「……確かめに、か」


 『クレイドル』にいる私は意識だけの状態。多分だけど『クレイドル』から出たら、またあの施設に戻ることになる。


 そのとき私に『世界を思い通りに変える力』があったとして。

 私は何を想い、何をするのだろうか。



◇◆◇



 デザイアにより、ストラクチャーに暮らす人々が死んでいく。デザイアという理不尽を知らなかった人々にとっては、底知れない恐怖を感じざるを得ない原因不明の現象。


 最後に残ったホワイトエレジーもまた、対抗する術など持たず。

 迫ってくる不可視の死を、ただ待つことしかできなかった。


 そして、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る