泣く意味とは

@ktren

第1話

泣いても現状は変わらない。

だから、私は泣くことをやめた。


心に蓋をして、哀しみ嘆く自分を追い出す。

それでも、やっぱり悲しくて

何を観ても、悲しくて

悲しさが心を覆い尽くした時、私は何も感じなくなった。


恋だの、愛だの、分からない

何が綺麗か、分からない

好きなものも、分からない

次第に自分が分からなくなって

なぜ生きているのかも、

どうして生きていたいのかも

分からなくなる。


家族と過ごせる幸せも、

居場所がある幸せも、

季節が移ろう輝きも、

全てが大切で、

2つとて同じ時を過ごせぬはずなのに


どうして、私はこんなにも

こんなにも、哀しいのだろう

泣いても何も変わらないのに

涙が出るのは、なぜだろう


さむい夜に、一人で

自分の部屋に、沈み込んで

誰にも聞かれぬように、嗚咽を漏らす

ただただ、悲しくて

自分が、憎くて

どうにもならないもどかしさに

のたうちまわり

嘆き、苦しむ


人は、なぜ泣くのか

あの人は、活性酸素をなくすためだといった

この人は、自分に酔いしれるためだといった

私は


泣いても、なにも変わらぬけれど

泣いたぶんだけ、記憶に残る

悲しい心は消えないけれど

詰まった、鼻腔がとおる頃

わずかに心が軽くなる


泣き腫らした目が痛む頃

どうにもならぬ明日を

生きようと思えるのだろうか

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