第6話 作戦会議
プロジェクターによって映し出された映像、その中に映る人物について俺でも知っている人が一人いた。
この国、日本に10人も居ないと言われるAランク探索者。
その中の一人。彼女はメディアへの露出も結構している方だから有名だ。
ギルド『鮮血の偶像』マスター。
血染め、
物騒なギルドネームとあだ名ではあるが、それは彼女のスキルに由来する物で少なくともメディア露出している彼女の性格は、そんなに残忍な物では無い。
探索者はランクによって分けられている。
例えばこのオルトロスの主のギルドマスターはBランクだし、鮮血の偶像ではない方のディスプレイに映るギルドのマスターもBランクだ。
「
小声でリオンさんが俺に話しかけて来た。
「そうだね。こんな面子でやる作戦ってどんな物なんだろう」
「このバイトの給料が高いのもそういう理由ですかね?」
「多分ね」
このバイト、なんと日給15万である。
たかが荷物持ちにかける費用では無いが、それほどまでに本気の作戦という事なのだろう。
「それじゃあ、今日の作戦のお浚いをしましょう。初めての人もいるしね」
黒峰静香がそう言うと、俺たちにも資料が回されてきた。
今回の作戦について記述されているらしい。
ネットの募集分だと遠征って事しか書かれてなかったから肝心の『何処に』という部分が分かっていなかった。
「え?」
資料に書かれていたのは驚愕に値する内容だった。
「新たに発見された『天空宮殿』ダンジョンへの探索作戦の会議を始めます」
新発見のダンジョン。
それも、ダンジョンの中でも最高ランクとされるA級の未探索ダンジョンへの遠征。
それがこの作戦の内容だった。
A級と呼ばれるダンジョンは現在世界中に6つしか発見されていない。
この天空宮殿ダンジョンは、その7つ目だ。
「我々はこのダンジョンを『スカイフォートレス』と命名します。このダンジョンの威力偵察が我々の今回の作戦内容です」
なんか、とんでもない作戦に巻き込まれた気がする。
それから会議は進んでいく。
総勢80名程で行われる本作戦だが、メインは当然黒峰静香率いる『鮮血の偶像』だ。
他2つのギルドはそのサポート、及び物資の運搬や足りない人員の補充のために居る。
まぁ、ダンジョン内に大人数を同時に向かわせても中が狭かったら意味が無い。
流石に地形を全く把握していないという事は無いだろうから、この人数が最適だと判断されたのだろう。
「できれば内部への拠点作成。それが不可能でも、より多くのモンスターの情報を得る事を目的とします」
完全攻略、とは言わない。
当然の話だ。何故なら未だA級ダンジョンは一つたりとも攻略なんてされていないのだから。
ダンジョンは攻略する事で、スタンピードを完全に押さえつける事ができる。
スタンピードとはモンスターが外へ溢れる現象だ。
ダンジョンが長い間攻略されないとこれが起こる。
A級ダンジョンは最古の物で50年前の物だが、今まで3度ほどスタンピードを起こしている。
その度に、何人もの探索者が犠牲になりやっとの思いで鎮圧しているのだ。
それが7つに増えた。これは人類全体にとって悪い
会議は進行していき、具体的にどんな作戦で探索していくのかが告げられる。
なんでもスカイフォートレスという名前通り、このダンジョンは天空の浮島の中央にゲートがあるらしい。そして今は日本の上空に位置する場所にあるという事だ。
乗り込むのは転移の魔法で行くらしいが、高度的に空気が薄くなっているからまず風属性の魔法使いたちで結界を構築。
拠点を外に作る。
ダンジョンはゲートに入る事で、異世界と言える空間に強制転移させられるから内部は空気が薄いって事はないらしいから、その拠点から何度か先遣隊が挑む。
挑むのは黒峰静香を中心にした何パーティーか。
取り敢えず物資が無くなるまで、もしくは甚大な被害を受けるまでの挑戦を前提としているらしい。
「勿論、最高は攻略しきる事だから探索者諸君はそのために全力を尽くして欲しいわ」
黒峰静香がそう言って、会議は締めくくられた。
「A級ダンジョン……私凄い場違いな感じがします」
「俺もだよ。全然予想しなかった」
そして、直ぐに転移魔法の使い手が俺たちの前に現れ、大量の物資と共に俺たちは天空の浮島へ転移したのだ。
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