第49話 再び襲い来る脅威
襲撃者が写る写真を見つけてからしばらくの時間が経った時、アレスはあと少しで一つ目の時計塔に辿り着く位置まで来ていた。
道中、なるべく戦闘は避けるように動いていたものの何回か、接敵を回避することが出来ず、獣人ゾンビたちと戦闘を繰り広げた。
今のアレスは獣人ゾンビ程度に遅れをとることはない。
アレスは接敵した全ての獣人ゾンビたちに素早く対処した。
獣人ゾンビたちに対処したアレスは周りへの警戒を怠ることはない。
なぜなら、黒豹ゾンビに奇襲を仕掛けられても対処するためだ。
今のところアレスは黒豹ゾンビには一度も接敵していない。
黒豹ゾンビだけでなく、虎型のゾンビや熊型のゾンビにも一度も出会っていない。
元から個体数が少ないためにでくわしていない可能性は高いが、それでも運が良いことには変わりない。
アレスは今まで苦戦するようなこともなく、時計塔近くまで来れたことをラッキーだなと思った。
ちなみに、時計塔の近くまで来たということで、一番最初に来た教会へ行き、リスポーン地点の更新も行なっている。
今のアレスは準備万端というところだ。
そうして、アレスは時計塔へ向かって歩いている時、空から何か強い殺気を感じた。
アレスはその殺気に嫌な予感を感じながらも視線を上に向けた瞬間、勢い良く走り出した。
視線を上に向けたアレスの目に入ってきたものとは、
『グルルルアアアアア!!!!』
この隔離区画に入った時に襲ってきたグリフォンであった。
グリフォンはアレスを見つけるなり、勢いよく降下してきてアレスに向けて突進する。
突進してきたグリフォンをアレスは何とか前に飛ぶことで回避する。
アレスを仕留め損ねたグリフォンはそのまま地面に突進する。
その力は恐ろしく、地面に大きなクレーターを作り、砂煙が舞い上がった。
アレスはグリフォンが地面に突進したことでダメージを受けたと判断し、その隙に逃げようと走り出す。
しかし、グリフォンは無傷であり、砂煙の中からアレスへ向けて勢い良く飛び出してくる。
勢い良く飛び出してきたグリフォンはそのままアレスへ大きな口を開けながら突進を仕掛ける。
どうやら、アレスのことを捕食しようとしているようだ。
大きな口を開けて突進してくるグリフォンを見たアレスは更に走る速度を上げる。
散々流石のアレスも食べられて死ぬのは勘弁願いたい。
アレスは自分のことを捕食しようとしているグリフォンから全力で逃げる。
だが、グリフォンの飛行速度はアレスの足よりも速い。
そのため、アレスとの距離をジリジリと詰めていく。
そして、アレスとの距離を詰めたグリフォンは一気に飛行速度を上げ、アレスに喰らいつこうとする。
しかし、アレスはすぐ近くにあった狭い路地にスライディングすることでグリフォンから何とか逃れることができる。
回避されたグリフォンはすぐに方向転換し、アレスのことを追いかけようとするが、彼が駆け込んだ路地は狭く、中へ入ることが出来ない。
その隙にアレスは狭い路地を駆け抜けてグリフォンとの距離をとる。
運が良かったことにこのグリフォンはあまり頭は良くないらしく、必死に路地の入り口で体を捩じ込もうと足掻いている。
そのため、アレスはすぐにグリフォンとの距離をとることに成功したのだった。
そうして、何とかグリフォンのことを撒くことが出来たアレスは路地から大通りに出ることにした。
路地の中を進めば安全であるが、先ほどの地震の影響で道の状態が悪く、瓦礫による行き止まりなども沢山ある。
それに、今にも倒壊しそうな家のすぐ近くを歩くのは危険であり、いきなり倒壊してそれに巻き込まれてしまう可能性だってある。
それらの理由により、アレスは路地から出ることにしたのだ。
路地から出ることにしたアレスは一番近くにある大通りへの出口に向かうと、顔を出して周りに何もいないかを確認してみる。
アレスは運が良かったらしく、周りには敵の姿は見えない。
地上には敵がいないことを確認したアレスは視線を上に向ける。
視線を上に向けたアレスは周りにあのグリフォンが飛んでいないかをくまなく確認する。
今のアレスではどう足掻いてもあのグリフォンには勝てない。
それほどまでにアレフのことを襲うグリフォンは強い。
あのグリフォンは明らかに普通の個体ではない。
何か特別な個体であることは容易に想像できる。
そもそもあのグリフォンは体長が大きすぎるのだ。
アレスはあのグリフォンに出会った際は逃げる以外の選択肢は取れない。
そのため、再び接敵しないよう慎重に進んでいく必要がある。
唯一の救いはあの襲撃者とは違い、頭の方があまり出来が良くないため、上手く立ち回れば、接敵せずに進めることだ。
実際にアレスは狭い路地に入ることでグリフォンのことを撒くのに成功している。
これが襲撃者ならば、周りの建物ごとアレスのことを吹き飛ばしていただろう。
グリフォンにはそのような知能がなくて助かった。
そうして、周りの安全を確保できたアレスは大通りに出てくると、再び時計塔へ向けて歩き始めたのだった。
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