また感じた身体の異変


「あのご令嬢の件よね。学園の卒業パーティーの場で、わざわざ私が彼女に何かしたように言わせたことにも理由はあるわ。うふふ、私は何もしていませんわよ?」


 むしろ協力者でしたもの。


 そう語るヴァイオレット様は、とても嘘を言っているようには見えませんでした。

 纏う雰囲気のすべてに薄暗いところが何ひとつ伺えなかったから。


「私にも瑕疵が欲しかったからそうしてもらったわ。卒業生の皆様には申し訳なくもありましたけれど、あの場ほど相応しい場所もないでしょう?」


 ヴァイオレット様はとても堂々とされており、為政者として相応しいお姿に見えるのですが。

 けれどもその語る内容がそうではないという矛盾が、私の胸を騒がせます。


「すべては彼が悪いというお話として発表されましたけれど。あの場にいた方々は少しの疑いを残すでしょう?この国の将来を担う貴族の若者たち。そんな彼らが次代の王妃に疑いを持っている。うふふ。これで十分に王妃を辞退する理由になったわ。ねぇ、そうでしょう?ローレンス殿下」


 ローレンス殿下は心底呆れているというお顔を見せておりました。

 このように感情をはっきりと示されているのは、お二人が特別な仲だからだと。


 もうそんなはずはないと分かっているのに、私はまだどこかでそのように考えておりました。


 スペアとして共にあり続けた時間にも私にこのお顔を見せてくださっていたら……いたらどうなのでしょうか?


 ちくんと、また違う形で胸が痛んだ私は、答えの出そうもない問いに思わず首を傾げてしまいました。




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