私たちは共にスペアでした


 幸運にも私は幼い日に有難いお役目に選ばれました。


 それから私たちはスペアであることを叩き込まれてきたのです。

 そして殿下とはじめてのお顔合わせをしたあのときから、ずっと一緒に学んできています。


 スペアであることを誇りに想える教育のおかげか、私たちは同じ意識を共有し、所謂同志や戦友という関係をそう時間を掛けずに築いていたのではないでしょうか。

 国のため、民のため、未来の国王夫妻を支え、人々に安心を提供出来る大人になろうと、共に肩を並べてきたのです。


 そんな私たちがスペアでなくなること。

 そのような日が決して来ないことも、共に願ってきたことのひとつでした。



 それが今日、終わってしまいました。


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