私たちは共にスペアでした


 幸運にも私は幼い日に有難いお役目に選ばれました。


 それから私たちはスペアであることを叩き込まれてきたのです。

 そして殿下とはじめてのお顔合わせをしたあのときから、ずっと一緒に学んできています。


 スペアであることを誇りに想える教育のおかげか、私たちは同じ意識を共有し、所謂同志や戦友という関係をそう時間を掛けずに築いていたのではないでしょうか。

 国のため、民のため、未来の国王夫妻を支え、人々に安心を提供出来る大人になろうと、共に肩を並べてきたのです。


 そんな私たちがスペアでなくなること。

 そのような日が決して来ないことも、共に願ってきたことのひとつでした。



 それが今日、終わってしまいました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る