第13話

一仕事終えた後は爽快だ。さん眠りめに入ってしまった。今度も、『目が覚めたら家だった』みたいな、夢オチにはならなかった。正直もう、何日経ったのかわからない。車のキーを回す。愛車は、少し電気をつけるふりをしたが、結局うんもすんも言わない。これ以上、愛車に期待するのは諦めた方が良さそうだ。三本めのコーヒーの蓋を開ける。これで最後だ。大事にせんと。車内にある口に入れられそうなもので、躊躇いなく入れられるものもこれで最後だ。普段なら、母の作った弁当でもあるのだが、今朝は、作ってもらわなかった。今日は出張だから、外食をする予定だったからだ。車の天井に向かって手を伸ばす。なんかの歌みたいに、赤い血潮は、透けては見えない。*『欲しいものは、欲しい時には、いつもない。』腹が減ってきた。

※赤い血潮 「手のひらを太陽に」。正確には「まっかに流れる ぼくの血潮」だった。作詞が、アンパンマン の作者の「やなせたかし」だったことにびっくり。

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