第4話

幸い、職場に持って行こうとしていたペットボトルのコーヒーが数本ある。テレビで、水分がなくなれば、人間は数週間で死ぬとか言っていた。数日だったか?でも、コーヒーは水分補給になるのか?確かトイレに行きたくなるだけと聞いた事もある*。そういえば、さっきからトイレに行きたい。元々近い方だが、こういう追い詰められた状況では、ますます近くなる。この車の中にするのも嫌だ。さっき飲んだ、ポットにペットボトルの中身を移し、そこにしようか?ビジュアル的に嫌だが、しょうがない。ペットボトルの口にあれが、ちゃんと入るのかも不安がある。しばらくためらっていたが、背に腹はかえられぬ。清水に舞台から飛び降りることにした。助け出された時、『お漏らし男』の称号を得ることになることを耐える覚悟も固めた。結果として問題はなかった。まったく。ペットボトルから一滴もこぼすことなくそれは完了した。それはそれで少し残念というか、屈辱というか複雑な思いだ。まあ、こういう危機的な状況だ、普段よりアレがアレなのはしょうがない。ペットボトルの口をきちんと閉める。匂いが、充満すると、この空間に何日もいるのが辛くなる。少し持ち上げてみた。生暖かい。これを飲むまで追い詰められるのは嫌だな。心底そう思った。

※ネスレのhpによればなるらしい。利尿作用は、少量なので大丈夫だそうだ。

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