第6話 私のモーニングルーティン

私は朝起きるのが弱い。

今日も目覚まし時計のアラームでなんとか目を開けたものの、布団にくるまってしばらくボ〜っとしてしまう。


「ふわぁ、おはよぉ〜もちこぉ」


「んなぁ」


ようやく頭が半分ほど働くようになり、部屋を出たタイミングで飼い猫の『もちこ』と出会い、欠伸混じりに挨拶をする。

気分屋のもちこだけど、今日は返事と共に足に擦り寄ってきてくれた。


「よーしよしぃ」


ー ゴロゴロゴロ ー


首元を撫でると上機嫌になるところが最高に可愛い。

本当はいつまでも撫でていたいけど、通学の時間もあるので、もちこにバイバイして1階へ降りる。


「おはよ〜」


「おはよ、芽衣。ご飯用意するから先に顔を洗ってシャキッとしてきなさい」


「はぁい」


リビングに到着してお母さんに挨拶した後、言われるままに洗面台へ向かう。



ー パシャッ ー


「ちべたっ」


まだ冷たさの残る5月の水を顔に浴び、思わず声が出た。

もちろん浴びせたのは他ならぬ私自身の手だったけど・・・もうちょっと何とかできたんじゃないの?

手の温かさで水をぬるくするとかさぁ。


そんなお馬鹿な自問自答をしているとある事に気付く。

私、自分の行動に疑問を持ってる・・・これって哲学?

そういえば顔サッパリして頭もスッキリしたかも。



どうもみなさん、おはようございます。

お待たせしました。

パーフェクト女子高生、芽衣です。


冴えた頭の万能感に酔いしれながら、さながら女優のようにリビングに舞い戻る。


「もう!いつまで水遊びしてるの!早くご飯食べて支度しなきゃ遅刻するわよ!」


「・・・はぁい」


パーフェクト女子高生、実はパーフェクトじゃなかったです。


朝食と支度をしていざ出発。

っと、その前にーー


「お兄ちゃん、おはよ。行ってきます」


とある部屋のドア前でいつものように挨拶をする。

返事はない。

お兄ちゃんは今年大学2回生。

ただ、今年の4月から家に引きこもって、大学にはいっていない。


「はぁ」


人知れずため息をつく。

お母さんやお父さんは放っておいて良いって言ってたけど・・・心配だなぁ。


少しモヤっとした気分で出発するのが最近の私のモーニングルーティン。


だけど今日は、これからは違う。

昨日の今日だからまだ怖いけれど、でも、同じくらいドキドキしてる。


「会えるかなぁ」


あの人に会えたら運命だなぁ。

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