世界三大モンスター短編集
消毒マンドリル
フランケンシュタインの怪物
「フランケン」と聞いて普通思い浮かぶのは、色が青か緑のツギハギだらけの肌をした醜い大男でしょう。
しかし、現代の「フランケン」はそれとは事情が違います。
現代の「フランケン」は、もっと「賢く」、もっと「美しく」、もっと「強く」……と様々なニーズに合わせて遺伝子を改造されたいわゆる「デザイナーベビー」なんですよ。
作られたフランケンはその遺伝子改造の成果を遺憾なく発揮して、最初は「流石うちの子」だ「期待の天才」だともてはやされるのですが、だんだん彼らに下された「評価」が「当たり前」になればその「評価」がちょっと劣るだけでもそのフランケンは出来損ない扱いになります。
さらに酷いのは技術の進歩と商売が絡み、金さえつぎ込めばより「優秀な」フランケンが「手軽に」作れるようになった事で一発逆転を狙い多くの家庭がフランケンを育てるようになった事ですね。
そのお陰で、フランケンの育成への投資や普通の人間の何十倍も優秀なフランケンがもたらす経済効果のおかげで我が国は世界第1位の経済大国になったのはご存じの通りでしょう。
しかしその陰では、育成段階で見込みがない、社会が求めるスペックのインフレについていけない、単純に育てていてつまらない…と様々な理由で多くのフランケンの子供達が捨てられてきたのです。
大人のエゴで昨日まで「優秀」とされていた自身の「評価」が世間の「当たり前」になり、それ以降はより無茶な目標を突き付けられてぞんざいに扱われ、最悪捨てられる。
家畜の品種改良よりよっぽど残酷ではありませんか。
私は同じ「フランケン」…世界で一番最初に作られた「フランケン」として、永遠に続くであろうあのような悲劇の元凶として、彼らに償いたかったのです。
「愛さないなら、なぜ産んだ?」そう嘆き悲しむであろう「フランケン」を1人でも減らす。それが私なりの彼等に対する償いなのです。
_×××ニュース記事 ヴィクター社 遺伝子プラント爆破テロ 実行犯XXXXX被告の証言より
世界三大モンスター短編集 消毒マンドリル @ETEKOUBABOON
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