93.配信休止=礼嬢オリィはその後悔を知ろうとする。
「――――散らかっててごめんなさい。今、お茶を用意するからそこのソファで座って待っててください」
室内に通された私達は緊張しながらも言われた通り、恐る恐るソファに腰掛ける。
ここが白崎さんの生まれ育った場所……なんとなくだけど、私の実家を思い出すかも…………
別に間取りが似ているだとか、同じような家具があるとかじゃなくて、なんというか、漂う雰囲気のようなものが妙に懐かしく感じる。
そのおかげか、少しだけ緊張が解けて、そういえば私もずっと実家に帰ってないなぁ……なんて思えるくらいには落ち着いてきた。
「ど、どうしようオリィちゃんっこ、これからどうしよ……と、というか私はどう振る舞ったらいいかな?ゆうぐれちゃんのママ?でも相手はお母さんだし…………」
「……落ち着いてください。どう振る舞うも何も普段通りのへ……自由奔放なノーみりん先生で大丈夫です」
「ねえ……今、変って言おうとしなかった?え、もしかしてオリィちゃんから見た私ってそうなの?ねえってば?」
「……あ、ほら、夜月さんが戻ってきますからしゃんとしてください」
詰め寄ってくるノーみりん先生をかわして誤魔化し、話題をすり替える。
私がどう思っているかはともかく、今のやりとりでノーみりん先生の緊張はだいぶ和らいだようだった。
「――――お待たせしました。ふふっお二人共仲が良いんですね」
「あ、いえ、これは…………」
「ええ、だって私達はママと娘ですから」
さっきの会話を聞かれていたらしく、お茶を持ってきた夜月さんからの思わぬ言葉に詰まってしまう私を他所に、ノーみりん先生が何故か得意げにそう返す。
いや、まあ、聞く人が聞けば意味は分かるのだろうけど、ほぼほぼ初対面の夜月さん相手にそう言う辺り、ノーみりん先生はやっぱり変……自由奔放だと思う。
「ママ……確かVtuberのデザインを担当した方の事をそう呼ぶんですよね」
「……よく知ってますね。正直、意外です。普通の人はそこまで詳しくないですから」
勝手な想像だけど、夜月さんはVtuberの事情をあまり知らないと思っていた。
実の娘である白崎さんが漆黒ゆうぐれだという事は知っていても、それ以外には興味がないだろうと。
「……娘からそう聞いたんです。デビューが決まった事と一緒にそのデザインを大好きなイラストレーターさんにお願いするんだって、本当に嬉しそうに報告してきて……なのに」
懐かしみ、慈しむようにそう語る夜月さんだったが、言葉尻になるにつれて声が震え、表情が悲痛に歪む。
たぶん、私達の手前、無理矢理明るく振る舞っていたのだろう。
それが白崎さんの事を口にした事で感情が抑えきれなくなってしまったのかもしれない。
☆ ☆ ☆
93.配信休止をご覧くださり、誠にありがとうございます。
白崎朝陽の実家へと足を踏み入れた礼嬢オリィ達は果たして彼女を救えるのか……?
今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、フォローと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「いや〜この時は正直、緊張し過ぎて何を喋ったかあんまり覚えてないんだよね」
「……そうなんですの?まあ、私もノーみりんお母様のフォローに手一杯で記憶が定かではありませんけど」
「うん、まあ、オリィちゃんのおかげで少しずつ緊張が解けてきたからゆうぐれちゃんのお母さんが話してくれた事は覚えてるよ」
「……ゆうぐれ様のお母様の後悔……知ってしまった以上は何もしないなんてありえませんわ」
「もちろんだよ。ゆうぐれちゃんも、お母さんも、救ってまるっとハッピーエンドにしようねオリィちゃん!」
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