92.配信休止=礼嬢オリィは戸惑いながらも、その表情に違和感を覚える。


 再びインターホンへと手を伸ばそうとしたその時、不意に私達の後ろから誰かが声を掛けてくる。


 その声に振り返ると、そこにはなんというか、大人っぽくなった白崎さんとしか言えない容姿を持った女性が立っていた。


「へ、あ、えっと……その…………」

「ええっと、私達は怪しい者じゃなくて、なんというか…………」


 普通に考えれば目の前の女性は白崎さんのお姉さんか、お母さんなのだろう。


 ここは家の前なのだからこの状況は充分に予測できたはずなのに、私とノーみりん先生は動揺して口が回らず、あたふたしてしまった。


 そもそも、傍から見れば私達は不審者以外の何者でもない。


 白崎さんの家族がどこまで事情を知っているか分からないけど、明らかに挙動のおかしい私達は騒動の関係で押し掛けた悪意ある不審人物だと思われても仕方ないといえる。


 それに加えて、私達と白崎さんの関係をどう説明していいかも分からない。


 仕事の関係者と説明した方が分かりやすいのかもしれないが、今回の騒動の事を知っているとしたら、その響きにあまり良い印象を持っていない筈だ。


「わ、私達はゆうぐれちゃんの友達ですっ!」

「……ゆうぐれちゃん?」


 だからここの受け答えは慎重にしないと……そう考えた矢先、私が止める間もなく、ノーみりん先生がそう口を滑らせる。


 別に友達という答え自体は悪くないと思うけど、白崎さんの事をゆうぐれちゃんと呼んだのはまずい。


 普段の呼び方のせいかもしれないが、それでも私達が白崎朝陽ではなく、漆黒ゆうぐれとしての知り合いだと思われてしまった事だろう。


 下手をすればこの時点で話を打ち切られる可能性だってあると思い、恐る恐る女性の方を見やると、彼女は真剣な表情を浮かべ、まじまじこちらの方を見つめていた。


「え、あ、そ、そのっい、今のはえっと――――」

「もしかして貴女達は礼嬢オリィさんとノーみりん先生……ですか?」

「「…………へ?」」


 どうやって説明しようかと考える中、まさか女性の口から私達の名前が出るなんて思いもよらず、私とノーみりん先生は驚きのあまり呆けた声を漏らしてしまう。


「――――初めまして。私は白崎朝陽……いえ、貴女達にとっては漆黒ゆうぐれでしたね。あの子の母、白崎夜月です。いつも娘がお世話になっています」


 深々と頭を下げた白崎さんのお母さん……夜月さんは少し疲れた表情ながらも笑顔を浮かべ、私達を家の中へと招き入れてくれる。


 何故だか、その時の夜月さんの私達に向ける視線がどこか一瞬、縋るようなものに見えた気がした。






  ☆ ☆ ☆


92.配信休止をご覧くださり、誠にありがとうございます。


ついに漆黒ゆうぐれ……白崎朝陽の母と対面した二人。果たしてその出会いの行方は……?


今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、フォローと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!


「ゆうぐれ様のお母様……物凄く美人でしたわね」

「え、私の事?そう言われると照れるかも……」

「何でそうなりますの!?話の流れ的に本当のお母様の事に決まってますわよ!」

「本当のって……私だってちゃんとしたママだよ?」

「あ〜もうっ!ややこしいですわ!わざとやっていますわよねそれ!?」

「ん〜?何のことかわからないかな〜」

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