限界を超えた24歳OLは全てを賭けて挑む=元社畜の崖っぷち令嬢Vtuber〝礼嬢オリィ〟の自暴自棄な挑戦

乃ノ八乃

崖っぷち令嬢Vtuber〝礼嬢オリィ〟のデビュー

0.礼嬢オリィのプロローグ


「――――よし、準備は万端。はーふぅー……」


 画面の前、機材の準備を終えて後は配信開始ボタンを押すだけの状態で深く息を吸って吐く。


もう何度目かになるけれど、毎回、毎回この瞬間だけは慣れない……あ、マイクを入れるのを忘れないようにして…………配信開始っと。


「み、皆様ごきげんよう、元ブラック勤めの崖っぷち令嬢Vtuber……礼嬢れいじょうオリィ……ですわ」


 緊張のあまり声が上擦ってしまったけど、いつもの事だと割り切って配信に集中する。


 画面越しに映る姿は普段の私とはまるで別人。ブロンドの髪にドレスといった風体に、ごてごてした設定とぎこちなく慣れていない語尾をつけて喋り動くのは私の分身アバター、〝礼嬢オリィ〟だ。


≪待ってました≫

≪ごきげんよう≫


 ぎこちない挨拶にもかかわらず、コメントをくれる人達に感謝しつつ、同時接続の人数に目をやる。


同接の人数は二桁、これでも無名の個人が始めた配信にしては見てくれてる方なんだよね……。


 高い機材費用や依頼料を考えれば赤字も赤字、そも、収益化すらできていない現状では取り戻す当てすらない。


 けれど私にとってはそんなのは些末なこと、少なかろうと見てくれている人たちに向けて文字通り、死ぬ気で配信するだけだ。


「ええと、そ、それでは今日は雑談……わ、私がこうなるに至った理由をお話しま……じゃなかった……いたしますわ」


 どもりながらもあらかじめ決めていた話題……私がVtuberを始めるに至った経緯を話し始める。


 まさかこの配信が後に伝説になるなんてこの時の私は想像すらしていなかった。






  ☆ ☆ ☆


プロローグをお読みくださり、ありがとうございます。


これから始まるのはVtuber〝礼嬢オリィ〟が生まれるまでのお話です。


まだ最初も最初ですが、崖っぷち令嬢Vtuberである彼女に興味を持ったり、推していこうかな?と思いましたら、チャンネル登録……もとい、フォローの方をよろしくお願いします……それでは彼女から一言!


「え、ええっと……よ、よろしくお、お願い致します?……ですわ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る