SILENT

三日振りに話し掛けられたと思ったら、髪を切れ。

勿論、自分のだ。

坊っちゃんは面倒臭くて、厠にも行けない。

私ばかりが家族の髪を整えて、私は余程のことがない限りは美容院へ行かせて貰えない。

自分で遣り繰りしろと言っているらしいが、数万円で各支払いに通院の最低でも交通費、子どものご飯代、お葬式となっても私は身綺麗にできないから、そのままで行くしかない。

義理の祖父母が亡くなったとき、実母やなんかは、美容院へ行ってから秋田に来たよね。


さっき、か細い声で髪の話をしたら、俺は夕方がいいんだよ。

それとも何?

なんか用事でもあるんですか?

嫌味たらたら不機嫌な声で、たまったものじゃない。

家族LINE以外捨てたから、君は読んでいないのかね。

あーも、こーも、言われようきっついわ。

私は髪を切る専門家ではありませんし、美容院へ行ってお袋なら黙っていれば切るけど店にはなんて言ったらいいのか分からないって、四年間髪を伸ばしてたよな。

だらしない。

社会性に欠ける。

坊っちゃんだわ。

夏目家へ養子に行けば?

お金がないの、嫌なんでしょ。

四人家族の中で、小遣いあるの君だけ。

大笑いだよ。


こう言うのモラハラパワハラだよね。

病人に圧をかけて楽しいんだ。

サディストだったんだね。

道理で、実父も暴力あったけど、殺しにかかるって、結局は他人なんだよね。

子どもだけ産ませれば、メスなんか橋桁の下だよ。


朝一で飲むアレルギーの薬がキツくて寝たら殴られそうだから、声かけただけなのに。

羆だね。

お腹すいたら、私は買い物に行けませんので、マヨネーズ呑んでてください。

お酒でなんでもするんだろ。

別れたいなら言えば?


私は黙秘権を行使します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る