第2話 謎の星

「これは・・・」


 ジョンは驚きを隠せないでいた。


 「あり得ない・・・」


 目の前に広がる緑色の風景。それが現実のものだとは考えられなかった。


 ワープによる宇宙旅行の末、30光年先の目的の異星に到着していた。


 そこで見たのは現実離れした光景だった。


 目の前に植物が生えているのだ。地球でない異星に、である。


 緑で覆われた大地、その光景に畏怖を感じた。


 地球から三十光年も離れたこの星に植物が芽吹いている。


 地球とは縁もゆかりもないような星で地球の生態系が広がっているのだ。


 異常事態と言うほかなかった。


 現代において人類は「地球外生命」を発見出来ないでいた。


 つまりコレは人類史上初の「地球外生命体」との接触となる。


 「まずいな」


 宇宙服を着ながら外の様子を見る。今のところ動物の気配はないが、目の前には森林が生い茂っていた。


 植物に触れれば当然のように実体がある。重さもあるし、ちゃんと触れられる、引っ張れば土を絡めた根が出てきた。


 日の光を浴びて、光合成をする植物。人工ではない命がそこにはあった。


 検査機を見る。


『酸素濃度正常』


『有害物質は検知されず』


 表示されている数字と文字によれば、この異星の外気に異常はなかった。


異星にあるにも関わらず、磁気も放射線も、熱も風も異常が存在しなかった。


 機械からの数字だけ見れば、ここは地球そのものになる。


 宇宙服の中で冷や汗をかいた。首筋に雫が滴る。自分の「任務」を含めて、この場所は不穏すぎる。


 人類の手に負えない超常。それを今この場で感じていた。


 深呼吸をして落ち着くように努める、そして自分の役割を思い出した。


 国連宇宙探査員として、自分の「任務」は大きく二つあった。


 一つは「目的の異星『H2P4』を調査すること」


 そして、もう一つの任務が悩みの種だった。


 「この区域で行方不明になった宇宙探査員の捜索」、それが二つ目の任務だった。


 覚悟は決めてきたが、この星の異様さを目の前にして怖気づいてしまう。


 これは『人類に適した惑星を発見し、それを調査しにきた』という単純な話ではなかった。


 この異星の探査が開始されるまで、数々の謎が散乱していたのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る