超有名VTuberが毎回の配信で僕の話題をあげるのだが…その正体を僕は未だに知らない
ALC
第1話まだ始まってもいないけれど…スタートではある
それは雑談配信の時のことだった。
「結婚願望無いんですか?ってコメントあったけど。心に決めている人居るんだ」
彼女は超有名VTuberという立場も忘れてしまったのか、その様な発言を口にする。
「それってどんな人ですか?」
当然のようにコメント欄は阿鼻叫喚の叫びが流れてくる。
ショックを受けていたのは僕も同じだった。
鉄星に好きな人が居るだなんて…。
そう肩を落としていたところで彼女は爆弾発言を口にした。
「
鉄星の発言からコメント欄はどんどんと荒れだした。
「そいつのSNSを探せ!」
「皆で凸れ!」
「俺たちの星を誑かしたやつを炙り出せ!」
コメント欄は荒れに荒れていたので僕の内心は恐怖に満ちていた。
僕の名前は四条賢人。
鉄星が口にしていた名前と同姓同名の人物である。
少しだけ落ち着いたところで僕は息を吐く。
そもそも僕はSNSを何一つ利用していないので凸られる心配はなかった。
と言うよりもそれは杞憂かもしれない。
同じ名前の人などこの世にいくらでもいるだろう。
鉄星が言っていた人物と僕が同一人物だとは限らない。
杞憂に終わるであろう心配を払拭させると再び配信に集中する。
「凄くかっこいい人で。バレンタインではいつでも袋いっぱいにチョコを貰って帰るような人だったんだよ」
その言葉を耳にして僕の背中には冷たい汗が流れる。
まさに僕もその様な体験をしてきたからだ。
「告白も女子全員にされていたんじゃないかな?それぐらいモテてる人だったんだよ」
その体験も僕はしてきた。
毎日のように告白を受けていた。
「星ちゃんも結局顔が全てなんだ…幻滅したな…」
コメント欄にこの様なものが流れ出すと鉄星は否定の言葉を口にする。
「顔だけでモテてたわけじゃないよ?だって人の好みはそれぞれでしょ?賢人くんの顔をかっこいいって思わない女の子もいたよ?でも好きになるんだよね。それぐらい内面も魅力的な人だったんだ。だからさっきのコメントの返事をするのであれば。私は賢人くんと結婚したいって勝手に思っているよ。それ以外の人は…今のところは考えられないかな。じゃあ次の質問〜」
そこで話題は変更されるのだが…。
僕の内心はドキドキでいっぱいだった。
あの超有名VTuberの鉄星が僕の名前を出している。
しかも十中八九、僕を好きであると公言した。
だが僕は彼女の正体に気づいていない。
高鳴る胸を押さえつけながら卒業アルバムを隅から隅まで眺めるのであった。
これから僕こと四条賢人と超有名VTuber鉄星…
正体不明な彼女とのラブコメは始まるのであろうか?
彼女が誰かわかった時、僕は彼女に連絡を取るのかもしれない。
僕と彼女のラブコメはまだ始まってもいない…。
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