LAINFIELD

@lainfield

第1話  Cathy・Notice

・EVENT_____ENCOUNTER



 誰かの日記らしい。このページだけ色の違う万年筆で書かれている。

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  エイ、君は兎猫とは何か知っているだろうか?私はそれを人生でたった一度しか見たことがない。今日はその類まれなる珍しさをもった動物について話そう。

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 その日私は一度自宅から地元の、近所の店へと向かっていた。何をするかという目的は定かではなかったが、それは至極当然で当たり前のことだ。店は床から壁まで木で造られ、シンプルなガラス戸があり、小ざっぱりとしている分垢抜けて見えた。店員は一人だけで、内向的な男に見えた。骨格や体格は細かったのを覚えている。髪も黒色で長くはない。ある種の清潔感がある。私より背丈は高く、白い服と帽子を身に纏っている。でもそれがベーカリーのだったか、外科医が被るようなのだったかは定かではない。そして具体的に彼の顔立ちを刻銘することが、どうも出来ないでいる。でも彼は私の順番が来ると本当に心の底からニコリと笑みを浮かべる。だからマスクは付けていなかっただろう。それはいかにも人の良さそうな笑みで、彼はその職業を誇りとし、心底楽しんでいるのだということが伝わってきた。そして男はその手に収められた黒猫を私に渡す前に持ち方について説明した。

「大変活きの良い黒猫の死骸ですよ。」

私はそこで彼の笑顔とその手中に収められた死骸の落差にショックを受けている。でも彼はそんなことまったく思ってなかった。彼はやはり心底嬉しそうな顔をしていた。そしてそれはその黒猫の死骸のせいなのだ。それはおそらく今日一番という出来の黒猫の死骸であり、おそらくそんなことは毎日起きるわけではないのだろう。そういうある種の奇跡に対して職業的な人々が示す笑みだ。

「いいですか、鮮度を保つにはこう持ってください」と男はいいながら、猫の前足を束ねて右手で持ち、後ろ足もまた左手で束ねて持ち私と彼を遮っている会計台のところでそれを掲げた。ぶらんと猫の頭が垂れていたが、血は垂れていなかった。そのように捌き、血抜きすることがおそらくその店と彼の職業なのだろう。でも内蔵が抜かれているふうには見えなかった。その毛並みの美しい黒猫は(今ではそれが本当に真っ黒だったかさえ上手く思い出せない。もしかしたら白い斑点模様があったかもしれない)やはり見事な猫だった。雄か雌かは分からない。私は動物アレルギーがあるので猫は好きでも、詳しくはない。でもなぜそんなことをする必要があるのか私にはさっぱり分からなかった。

「このように持つと後ろ足が綺麗にうさぎのようでしょう」と彼は言った。そしてそれは本当に黒兎だった。アヒルにも見えるだまし絵の姿をその後ろ足はしていた。でもそれはアヒルのくちばしではなく、兎の耳に見える黒猫の足のはずだ。そう思うとそれは特殊な動物を扱う店だったのかもしれない。そして私や世間はハロウィンや謝肉祭のような祝祭として、そういうのを買いに来たのかもしれない。おそらくそんな生業のある街なのだ。そしてその猫の後ろ足のほうはどう見てもアヒルにも見えるだまし絵に出てきた黒ウサギの耳になっていた。にも関わらず私はそこにウサギの顔を確認することはなかった。そしてそれを毛並みの美しい先ほど絶命した美人の黒猫だと終始思っていた。そしてそれを見た時の、芳しくない、抵抗の気分はまだ覚えているし、簡単に忘れ去れるようなものでもなかった。舌からはよく分からぬ苦味を感じたほどだ。それにそんなものを持ち帰ってどうする?どうして生きている美しい猫を飼うのではなく、絶命させた猫を壁に飾ったりなんかしなくちゃならない?そんなのが果たして美しい婦人を愉快にさせたり、何かしらの芸術となるのだろうか?これはそういう一種のカニバリズム的発想なのだろうか?もしそんな文化が実在すれば、吐き気やそれに近い種類の抵抗を抱くだろう。でもその猫の鮮やかな死体は、たしかに芸術にもなりうるかもしれない。「美しく、後ろ足がウサギ耳をした黒猫」なんて題が下に飾られ、それを見た人々は先程私が述べたような感慨や違和感を受け取るかもしれない。これは何を言わんとしているのだろうか?しかしその死骸は「美しく、後ろ足がウサギ耳をした黒猫」の死骸でなければ抱かなかったであろう様々な衝撃を与えたことだけは確かだ。そして彼は満面の笑みを備えて私にそいつを渡してくれようとしていたのだ。それが何を意味するのだろう?でも猫を触った時の手触りを私は今も確かに、はっきりと覚えている。そして全くいやな匂いがしなかったどころか、店内はコロンのような良い香りがしたということも。しかしその奇妙な動物の死骸が意味することは何だったのだろう。それは私にとって何だったのだろう?とにかく一通りの整理と考えを終え、私は今こう思っている。



 Question → 果たして死は救済なのだろうか。  


 色の違う記述はここで途切れている。


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 雷の音で目覚める。部屋には僕だけがいる。レコード針は止まっている。そのせいで静寂を遮った後の、場違いな空気を感じさせる。でもここには僕以外誰もいない。それにここだってなんということはない一室だ。その自分の家の無意味な空間で、手元からは何かが失われている。今では目には見えないものを喪失した実感に置き換わっている。自分のことだからその話の流れや筋道を掴むことはできる。しかし到底理解は出来そうにない。共感も難しいかもしれない。これは誰の人生なんだ?よせ、ただ雷の音で目が覚めただけというだけの話じゃないか。余計なことは考えるな。落雷は雨の来るのを告げる一声でもある。部屋には一枚の絵が飾ってある。そしてその絵の中にはある種の力強さが内在している。良し悪しの基準を超えたところにそれは位置している。絵はずっと前から変わっていない。それは完成された作品としてそこに位置している。しかし違うところもある。つまりこちら側、鑑賞するほうの心が置き換わるのだ。しかしこちら側とあちら側の隔たりは崖のそれだ。でもそこには具体的な作者の意図は分からずとも、何かしらのつもりがあるのだと分かる。それは何かを向こう側からこちら側に問いかけている。でもそれはこちら側に来た途端、ある種の重力を失ってしまう。それはあちら側でしか生きることの出来ない何かであり、あちらでしか理解出来ない種類の物事なのだ。分かることはそれが他人の批評を抜きにしても優れた絵だということであり、それは優れた映画が登場人物の視点と自分の視点を重ねる、ある時には自分の実人生なんかよりもきらびやかで鮮明に映るように、それは自分の人生の一部がその絵の配置のように動かされているという錯覚を抱かせる。それは魔法のようなものだ。その時絵は外界を見下ろすかのように、僕の精神的頭上にいる。でもそこにあるのが何なのかは分からない。あくまで僕個人においては、それが僕に抱かせたのは秩序転覆性のようなものだったのではないかと思う。そう、トランプの革命のように全てを逆さまにしてしまう危険性をそれは持っていた。もちろんそんなことは往々の人と同じように、僕も進んで享受したいものではない。そしてそれは根幹から人を揺さぶり畏怖させる何かだ。容赦がなく徹底していて、謂わんとすることは明確で説得力がある。そのせいで人はある時にはそのまま、つまり自分というものが崩され固まりきらず、再発見もないままということだが、失われてしまうこともあった。そういった謎がいつか分かる時が来るのだろうか?


 時間がたつとあの時抱いていたのは何だったのだろうとさえ思う。僕はあの時の、十七歳の自分に戻っている。何があんなに僕を切実に突き動かし、その場に留まらせていたのだろう?いったいどうして僕はあんなに怯えていたのだろう?雨の日に親を見失った子猫のように。明日は失意の延長でしかなかった。こんなことがずっと続くのならその人生に意味はどれほどあるのだろう。エイ、僕達はこれらの感情に何と言うラベリングをすればいいのか分からず逡巡し、時には考えあぐね、やるせなくなり、保留をし、結論を出さないでいる。その年にはその年だけの奇跡があり、その年だけの風がある。その年だけのワインだってある。それは二十回もない人もいれば八十回以上ある人だっている。しばらくそれを観た後立ち上がり、その部屋のドアをしっかりと閉める。後何度このような目覚め方をし、このような気分になるのだろう?分かっていることはここに固定された絵画と同様僕も、ただ生きていかなければならないということだけだ。そう、ただ生きていく。


 ステイン・アライブ。海のような水平線でも、どのポイントから物事を見るかでその長さは変わっていく。それはまだ描くことを覚え始めたばかりの画家が使うピクチャープレーンのように希薄で定まらない。それに同じ時間でも同じ流れ方をするわけではないということを、僕は再び肝に命じなくてはならない。それは大した出来事なんかじゃないと思う日もあれば、こんなことはもう二度とないだろうなと思わせることもある。そしてある図録を開き眺める。その背表紙を見て、当時隣にいた人は家にあれば賢そうに見えると言った。目の前の絵画に関係するページを一人で見た。そうやって検証を試みる。ある短い一場面からだったり、長期的なスパンだったり。それは人々が占いをするようなものかもしれない。一枚のカードでその日の運勢を占ったり、複数のカードで一定の期間や何かについて考察し、人生へのヒントをそこから捻出するようなものかもしれない。ともかく、僕はそれについて纏めてみようと思う。フローベルは、書くことは君が何を信じるのかを発見することだと言った。そしてそれが例えどのような話であるとしても、そこには上述したように何かの信念が必要とされるだろう。でなければ書く意味はないかもしれない。この道のりの見えない世界で何を信じているのか?エイ、だから今から君に話そう。洗いざらい全てをはいた後、僕が真っさらな白い一ページ目になることを願う。


「貴方は帆の無い船なの。

晴れの日には沖に留まり続け、嵐の日にはそれが過ぎるのをただじっと待つことしか出来ない」その表情の欠けた声は頭の中でよく反芻され、染み込んでいく。

「その愚かさは綱渡りに似ている。

もっとも貴方は自ら進んでその上に立っているけど。」

でもこの話のポイントの一つは、嘘ってことだ。それも印象に残る嘘だ。やれやれ、まったく大したものだ。そして僕は自分でも気づかぬ内に、そういう体験を一つの水準として生きているわけだ。なんで最初にこんな話をしたかっていうと──まあ理由なんて101個くらいあるんだけど──彼女が僕と同じ高校だったからだ。もちろんその理由はそこに僕が行くからとかじゃないんだけど。僕らは相変わらず楽しめる間柄だったと思う。少なくとも彼女の存在は僕の悪くない一面を照らしていた、きっと。そして僕はそれからまた一つ年を取って、こんなことを思い出しながら、高校二年生になる。


Turn・Left(or Right)


DATE: 22, June 

NAME:樫江陵史

AGE:16


 「おい、───。私の話を聞いてるのか?」

───。それが誰の名前か僕には分からない。段々とその音が形作っていく。───・・・。何だかモールス信号みたいだ。でもMorseではなく、Noticeだ。 Cathy・Notice(キャシー・ノーティス)。外国人?ノー、ただのあだ名だ。Notice.昔それについてクラスの友人と話をした。

「意味くらいは分かるだろ?」

「気付く。」

「それが一番メジャーだけど、意味は他にもあるんだ。

電車の電光掲示板で見たことない?」

「お知らせ。」

「その通り。

他にも配慮する、注目、観察とかね。

でもそれだけじゃない。

掲示だとか看板、警告、通告書なんて意味もあるんだ。

でも今回使ってる意味にはどれも当てはまらない。」

退部届け(ノーティス)を出したキャシー(樫江)。まったく、しっかりとこんなあだ名を考える奴が、このクラスにはいるわけなんだ。考案者はよほどのセンスの持ち主じゃないか。


 その春僕に大したことは何も出来ていなかった。ただの一介の、ノーティスを出した高校生、ザッツ・オール。しかしここで誰かは、僕のことをノーティスではなく樫江と言った。つまり友人とかではないのだ。カシエ・リョーシ・・・、樫江陵史、凡庸な名前だ。特に面白くも変わってもいない。そしてそれが僕の名前だ。僕はあまりの眠気と意味のない時間の使われ方に対し腹を立てている。それでも常識を失わず、そのホームルームの担任には聞こえないような小さい声で悪態をつく。そう、彼女はホームルームの担任なのだ。そのくらいしかねぼけた頭では分からない。自分のことさえ忘れていたのだ。

「カシエ君、何か言いましたか?」

ノー。僕は顔を上げず、しっかりと嘘をつく。しかし隣人の女子は僕の代わりに全てを話す。

「先生、樫江君は今、無駄が多いって言ったんです。」

やっぱり僕は、素晴らしいクラスメイト達に感謝するべきかもな。どうしてそんなことを言っちまうんだ?この物語の中で彼女に名前を与えるか、現段階では保留しておく。当時を思い出すことで怒りを感じないでもなく、また彼女が僕にどの程度に意味を持つかさえ分からないからだ。おそらく無意味とほとんど無意味の間あたりだろう。


 無駄が多い。やれやれその通りだ。往々にしてここでの授業もそうだし、往々にして僕の日々もそうだ。それは一つのテーゼとさえ言えるだろう。しかしここで僕は過ちも犯している。それは無意味なコミュニケーション英語の時間ではなく、ホームルームの時間だった。同じ担任の教師で違う授業。そういう四字熟語があるいはあるかもしれない。同担異業なんてね。しかし、当時の僕はよほど尖っていたんだな。指でも切ってしまいそうだ。

「今私は何の話をしていましたか?」

生まれてから十七年目の春がゆっくりと経過している、絶好の昼寝日和。手軽な、ある意味では中途半端とさえ言えそうな田舎で僕は授業を受けている。そして狸寝入りをする。しかし担任は、それを赦さない。彼女にも名前を与えるべきだろうか?その間僕は強い現実と弱い現実について考えてもいる。ここは英国の田園風景でもなければニューヨークのアッパーイーストサイドでもない。たまにそのことが不自然に思えたりする。何故か僕はここにいる。何故こんなことを考えるのだろう?その自己への質問は、教師である彼女の質問に繋がっている。結論から言うと、僕とその教師との間柄は険悪ではない。ただその関係の意義については分からない、それは僕にはどうしようもないことだ。これでもかというくらい気持ちの良い春風が開け放した窓から入ってきては、カーテンを強く揺らす。あまりの心地良さに他のクラスメイト同様、半端さも捨てたものではないと何度か頷きさえする。僕は脳内の辞書から手ごろな単語を検索する。なぜなら彼女は教卓ではなく僕の隣に立っているからだ。教卓、そんなものもずっと嫌いなものの内の一つだった。でも今求められている一語は教卓ではない。そして睡魔は相変わらず僕を呑み込もうと待っている。しかし僕は必要な言葉を手にしている。言葉は僕の手の中にある。

「England.」

何人かの生徒の笑い声が聞こえる。その理由も僕には分かる。僕は話を聞いていたからだ。彼女はその忌々しき教卓まで戻っていく、僕のシャツの背中をつまみ上げ姿勢を正した後で。

「その通り。

あなた方は記念すべき当校の五十周年に値する生徒です。

だから例年の修学旅行先である北海道から、イギリスに決定しました。」

まあもっとも、品格が五十周年に値するかが肝要ですが、と彼女は僕を見ながら言う。僕は微笑みで頷く。いいじゃないか、元々行ったことがないという意味では、北海道もイギリスも同じだ。それに──、それにどちらも羊がいるし、水着のクラスメイトはいない。結構。それからも彼女の話は続くが、僕は俯いてしまう。あとでプリントを見ればいい。そして眠気は後ではなく、今来ている。そして半眼になりながら、数分が過ぎる。黒板の白字がぼやけて読めなくなりながらもふいに漠然とだが──、今までに多くの電車をホームから見送って来たと思う。そう思うのは弱い現実が何かについて考えていたからだ。眠い頭で考え付きそうな、いかにも馬鹿らしい発想だ。でもその時はなぜかその考えを一笑に付すことが出来ずにいる。今までに多くの電車をホームから見送って来た。何故ならそれは見方によっては事実だからだ。見送った車両はそんなに悪くない所へと僕を連れていったかもしれない。窓にはアゲハ蝶が何羽か飛んでいる。でもそれが現実の学校のクラスの窓なのか、今話している列車の窓なのかは分からない。人生の分岐点にあっては────眠らないように目をつぶりながらも残っているありったけの集中を以って考える。人生の分岐点にあっては、人は左か右に曲がるしかない。turn・Left(or Right).そして本当にそれが寝言じゃないか確認する。大丈夫、筋は通っている。そうすることで線路は切り替えられる。俗にいう人生の分岐点ってやつだ。それを延々と繰り返していく。その線路はひどく複雑に絡み合っている。きっと線路の方だってそんな複雑な色合いのツイスターゲームみたいな、雑然とした形をとるのはごめんだっただろう。でもそうなってしまう、好むと好まざるに関わらず。そしてそれはもはや元はどこに繋がっていたのかということさえ分からなくなる。それらは途中で切り離され、またどこかへと繋がっていく。たまに線路は急につながりを持ったり、つながりを失ったりする。そこでいつも終点のホームに入っていく電車を思い浮かべる。そのような風景がただ頭の中にある。時にそれはホームが三つあったりする。そう思うと怖くなる。そしてどんなに路線が変わっても着く場所は同じように見える。それが絶望なのか救いなのか?ぼやけた頭では分からない。そこに焦燥感とか恐怖心が漬け込む暇はない。そのまま完全に目を閉じ、眠りに誘われていく。曖昧な状態、しかも状況は刻々と変化している。イマジネーション、何か寝落ちする前に考える夜、裏と表、長引く状況、未知から来る恐れ。形を変える月、警告、目には見えない真実。月の前に立つ様々な生き物たち。一匹のうさぎ、幻惑と幻滅、猶予ない選択、フラッシュバック、無名無形の見えざるもの・・・ブラック・アウト。


 でも僕には強い現実と弱い現実が見えている。蓋然性と呼ぶことも出来るかもしれない。どのような結果であれ、僕はある部分では変わらないはずだ。

「そう思うと怖くなるの。

だってどんなに努力して、どんなに自分を変えようと線路の軌道を変えてみたところで、結局着く所は同じように見えるじゃない?」

そう彼女の言うのに合わせ、長い髪が揺れる。彼女も自分と同じ車両に座っている。たまにこういう時がある。ぼやけた頭で考え事をしながら寝落ちすると、ぼやけた世界が夢に出る。窓から差し込む日差しをぼんやりと眺める。海の景色、雨の景色・・・。どこにも存在しないゆっくりと、本当に必要な物事について考える時間がないように、僕は彼女が誰で、どんな容姿だったかすら少しも覚えられないのだろう。それが夢だ。何もない田舎町のホームに止まる単線列車の小さな窓から、僕は世界を、時間が音を立てて過ぎていくのを見ている。

 

 それだけが確かだ。

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