第15話 オブジェ

戦争が終わった後の戦車だとか、老朽化した大型船をわざと沈めて魚礁にするというのが昔あった。

ゴミとしか言えない物を沈めてなんで魚が増えるのかということだが、一つは、水流が変わって海底の栄養が巻き上げられる、もう一つは魚が隠れ住む場所ができる。


浄水場内に現れたジャングルジム風のオブジェは私が作った、缶詰泥棒を育む魚礁だ。


もう車を整備することもないので、取っておいた廃材を敷地内のあっちこっちに立てかけて、缶詰泥棒が隠れられる場所を増やしたが、どうみても瓦礫だ。ヤミ人形は綺麗好きなんで置いた端から通行人が増えて、気がついたら無くなってる。今頃粉々に砕かれて砂丘の一部だ。砂にはよくそういう感じの粒がある。


これは大事な物だから触るなと言うと、みんな一様に了解するが、やはり廃材は消えてしまう。人間の意識の部分の行動ではないのだ。

まあ生きてる頃の人間だって人の話なんざ聞きやしないけど。


建物を破壊する力は働いていないあたり、人工物だから撤去するのではなく、単純に風景との調和の無さに反応して撤去してるらしい。インテリかよ。


サンダを回して鉄屑から奴ら好みのオブジェを作ろうとしたが、太陽光の小水力もそんな力は残ってない。ヒョロヒョロと回る様にイライラしてああクソッタレとサンダを叩いたらバラバラに砕けた。短気は損気。今の私じゃぶっ壊すことしかできないのか。


グラインダーを砕いたのは私の素手じゃあグラインダーいらないきが

ついたならい


(以下余白)

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