童貞の俺が強制憑依アプリを手に入れた!けど、あれ?想像してたのと違う気が…

Q太郎

プロローグ

どうしてこうなった?


俺は今、ホテルにいる。


『最上級の快適さをお届けします』がコンセプトのこのホテルは、見事な外観と魅力的な内観で輝いていた。


多くの人にリピートされているホテルというのも頷ける。このホテルを利用した後は、あらゆる負の感情とオサラバ出来るだろう。


俺も、オサラバできるだろうか。


天蓋付きのダブルベッドに仰向けで寝転んでいる俺は、もう一度、疑問を口にした。


「どうして、こうなった‥」


ギシっというベッドが軋む音が聞こえる。


心臓が、ドキドキと早くなる。


「ご主人様、準備はよろしいでしょうか」


首だけ起こして俺がその声の人物の顔を見る。


ムードを出すために置いてある間接照明がその声の人物の顔を照らす。


その人物の事はよく知っている。


藍良舞アイラ マイ

幼稚園から現在の高校まで同じ所に通っている幼馴染。


芸能人顔負けの容姿、天真爛漫な性格、肩に掛かる艶のある黒髪はシャワーの後で少し濡れていた。


「おい、その格好‥」


「お気に召しました?」


いつもの制服姿ではなく、肌の露出が多いネグリジェを着ている。

お世辞にも大きいとは言えない胸の谷間もくっきり。


うるっとした瞳はどこか甘えているようにも見える。


違う。まるで違う。

目の前にいるのは確かに藍良舞だが、その中身は別人だ。


俺は、藍良の事を誰よりも知っている。


俺の幼馴染は間違っても俺の事をご主人様なんて呼ばないし、こんなに色気たっぷりに俺を見ない。


「ご主人様、始めましょう」


「あ、あぁ‥」


藍良の顔をした何者かは俺の首に手を回す。


どうしてこうなった?

いや違う。こうしなければいけなかった。


確かに、こうなったのは頼まれたら断れない俺の性格が原因となっている事は間違いない。


でも、どうか許してくれ。


全てはお前を助けるためなんだ。


藍良のピンク色の唇が近づいて来た。


俺はそっと目を閉じる。


あぁ、神様。


俺はこのまま流れに身を任せるかのように、童貞を卒業するのでしょうか。

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