あい
鈴乱
第1話
分かってる。
本当は分かってんだよ。
分からないわけがない。
分からないわけがないだろう?
ずっと、一緒に生きてきた。
ずっと共に時を過ごした。
その間に築いてきた絆は、何があっても揺らぎはしないさ。
ほら……僕らちょっと意地っ張りで。
強がったり、独りでいようとしたり……ね?
本当はただ……寂しかっただけじゃん?
本当は、互いに甘え合いたかった。
支えあって、力になりたくて……
だから。
だからさ、そのために頑張って生きてきた。
君も、僕も。
ただ、頑張って頑張って、頑張りすぎちゃって、とんちんかんになっちゃった。
すれ違っちゃった。
それだけじゃん。
それだけだよ。
だって……確かなことは、この胸にずっとある。
君がくれたもの。君が教えてくれたもの。
君からもらった優しい言葉も厳しい言葉も、気遣いも……。
分かってる。
分かってるさ。
いいよ。君が僕の知らないところで、どんな裏切りをしてたって。
そんなのさぁ、僕にとっちゃ大したことない代物。
君の動機なんて、筒抜けなんだからね。
もう、君は僕を見くびったなぁ?
君は僕が好きになった人で、僕は君が好きになった人。
君が捕まえた僕が、そして僕が捕まえた君がただ者なわけないでしょう?
ただ者同士なら、ここまで想い合う関係になってないって。
君は人一倍、愛情深かった。
僕だって、負けないくらい愛情深かった。
その愛が、消えることなんてないって思ってるけど?
どう? 僕は間違ってる?
あはは。君のムキになる顔が浮かぶなぁ……。
ねぇ。僕ら大丈夫だよ。
そんなに嘆かなくて大丈夫。
君が悲しい時は、僕が肩を貸す。
僕が悲しい時は、君に肩を貸してほしい。
そうやって、生きてこう。
これからは。
あい 鈴乱 @sorazome
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